八木宏之著「事業再生と敗者復活」〜金融後進国ニッポンを支える保証人制度

 今日、八木宏之さんの話をきく機会があった。八木さんは事業再生コンサルタントで、債務返済に窮する中小企業のコンサルタントとして、金融機関との交渉を通じて、債務を軽減し、事業再生を支援している。あるいは、2003年に35万部のベストセラーとなった『借りたカネは返すな』の著者といった方がご存知の方が多いかもしれない。
あまりくわしくは書けないのだけれど、八木さんの話をきいて、日本がいかに金融後進国で、そんな政府に護送船団方式で庇護されてきた銀行が、いかに脆弱な業態かがよくわかった。たとえば、融資の際に、本人が何らかの理由で返済できなくなったときに、その返済を肩代わりする保証人制度がある。だが、本人はもちろん、この保証人にさえ無限責任(どんなことがあっても必ず返済しなければならない)を課しているのは、先進国中で日本だけなんだって。
 それに今なお、財務省広報室みたいに、省庁発表そのままの受け売り報道をつづける新聞やテレビの責任もかぎりなく大きい。
 中央と地方の現場を熟知している八木さんの話をきいていると、自分の経済関連の知識が、いかに財務省記者クラブ発の、一方的情報(ガセネタと呼んでもいいような)の集まりかを知らされた。上記の本「事業再生〜」を読んでも、保証人制度を盾に、債務者を追い詰めていった銀行の「サラ金」体質がよくわかる。