2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

鵺(ぬえ)ジャパン、ふたたび大量増殖中

「鵺(ぬえ)」とは、想像上の動物。頭はサル、身体はタヌキ、手足はトラ、尾はヘビ、声はトラツグミ(?)に似ているという。そこから転じて、正体のわからない人物や、あいまいな態度を意味する。 教室でも職場でも、誰か弱ってるヤツを見ると、よってたか…

神楽坂「ルバイヤート」〜歳を重ねることの幸せを感じた夜(2) 

歳を重ねることは醜悪なことが多い。 いつの間にか歯肉が落ちて見栄えが悪くなり、歯と歯の隙間にものが詰まるようになった。寝る前、歯磨き後の歯間ブラシはいまや欠かせない。オシッコの切れも悪い。物忘れもひどくなるばかりだ。 一方で、歳を重ねること…

神楽坂「ルバイヤート」〜歳を重ねる幸せを感じた夜(1) 

自分が好きな料理人が、自分たちのために作ってくれる料理を食べられる幸せ。それは、ぼくにとって歳を重ねることと、ひとつの出会いによって得られた幸せのひとつ。神楽坂「ルバイヤート」に出かけ、夫婦でOさんの料理を堪能した。ちょうど同町の阿波踊り…

「はてな」代表、近藤淳也さんの魅力〜「世の中」への情熱の強度 

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「はてな」というブログを選んだのは、代表である近藤さんへの興味と期待感からだ。 この人の「世の中にとっていいことを」という価値観は、ビジネスの匂いがとても薄い。もちろん、ビジネスである以上、そこは不可欠なんだけれど、彼の優先順位は圧倒的に「…

「ル・コルビュジェ展」(森美術館)〜なんてグラマラスな展示なんだ 

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は、恥ずかしながら、こ、こ、こんな巨人とは知らんかった。 館内を進むほどに、溜息が漏れた。30歳前後の彼の静物画が、幾何学的に再構成され、それがいわゆるコルビュジェ建築へと展開していく分かりやすさ。柱と梁(はり)を強化することで、既存の四角…

「ブルドッグソース完勝のウソ」〜日経ビジネスオンライン記事から 

少なくとも、「東京新聞」のブルドッグソースの買収防衛策をめぐる、スティールパートナーズとの法廷闘争は、ブルドッグ側の完勝、という見出しだったと記憶する。東京高裁が同社の防衛策を容認したからだ。 しかし、日経ビジネスオンラインの上のタイトル記…

湿度の威力〜近所の公園45分間走でバテバテ 

Run

ムシムシする仕事部屋でチャカチャカと原稿を書いていたら、無性に走って汗をかきたい衝動にかられた。22日の日曜日のことだ。夕方頃、小学校の校舎とグランドを包囲するように小さな森がひろがる、近所の公園に出かけた。 だが、湿気が多いせいか、走り出…

もはや大手都銀は時代錯誤の斜陽産業

「サラ金並みのエグイ商売ですねぇ」 人目もかまわず、思わずそう声をあげてしまった。近所の大手都銀2階のカウンタ―でだ。そう、わたしは相変わらず大人気ないヤツである。 ある雑誌で書いた記事(英文翻訳後に掲載されたもの)が、アメリカの関連雑誌で転…

認知症患者グループホームで奮闘する若者たち〜『潮』8月号 

4月に岡山に出かけた取材が、ようやく掲載されました。ご興味がおありの方は立ち読みでもしてください。この取材をきっかけに、あるキーワードをもとに、さまざまな分野の人たちを訪ね歩く企画を考えました。これからネットや雑誌などを通じて、少しずつ実…

雨中の美術館めぐり(4)21_21デザインサイト〜関係性に形を与える 

art

カカオ労働者の写真とともに、ハッとさせられたのが、今回の「チョコレート」展(今月29日まで)のディレクションを担当した深澤直人さんの「チョコレート色と白色の横断歩道」。いわゆる濃いグレーのアスファルト部分がチョコレート色。同サイト地下1階…

雨中の美術館めぐり(3)〜深澤直人ディレクション「チョコレート」(東京ミッドタウン内 21_21デザインサイト) 

art

モハメド・ウヘドラオゴ(17歳)という黒人の少年、彼の約2m大のカラー写真が目の前にある。 着古して汚れた半袖シャツとズボン姿。その両腕は、潰しかけのカカオの実を抱えていて、汚れている。作業中に撮影したものと思われる。キャプションには、「彼…

HERO'Sで所英男、敗れる

TV

くねくねとまとわりつくブラックマンバに、所は為す術も無くレフリーストップ。残念。アイツ、ほんまに毒蛇やな。あんなに足が外れないんなら、インドで一生座禅でも組んどけ!アホ。チビクロサンボみたいな円い目に円い口しやがって。ブラックマンバの福笑…

雨中の美術館めぐり(2)〜「水と生きる」展(サントリー美術館) 

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東京ミッドタウン内に移転したサントリー美術館。その「水と生きる」展で、もっとも印象的だったのは着物の型紙デザイン。雨や川の流れを取り込んだ着物2つの隣に、数種類の小さな型紙が地味に展示されていたが、その視点はとても斬新だった。 たとえば、山…

雨中の美術館めぐり(1)〜「ヘンリーダーガー 少女たちの戦いの物語―夢の楽園」(原美術館) 

art

誰にも知られることなく、81歳で生涯を終えたダーガーの作品群以上に、ぼくは彼の仕事場の写真に心臓をグニュッと握られた気分になった。いや、正直に書くと、気おされた。 天井の壁紙は剥がれ落ち、古びた安物のシャンデリアにはいくつも電球がない。彼が…

足立紀尚『プロフェッショナルな修理』〜事実をもって心を揺さぶる 

着物や仏壇を「洗濯」する人たちがいるのをご存知だろうか? 着物なら、あらゆる糸を抜き、ひとつの反物にして、汚れを落としシミなどを抜き、新たに色を加え、文字通り洗濯をして、ふたたび糸を通して仕上げる。仏壇も、釘一本のレベルまで解体し、きれいな…

身体の声に耳をすます〜森永のビターチョコレートが欲しくなるとき 

長い原稿を書いていると、森永のビターチョコレートが欠かせない。ピーマン頭で必死に無い知恵をしぼるせいだろうけれど、原稿をうんうんうなりながら書いていると、甘いものが無性に欲しくなる。そのときのために、うちの冷蔵庫には、森永のビターチョコレ…

元記者仲間のグワッと広がる人生をながめる幸福感〜「オーヴァー・ザ・トゥディ!?」 

少しの勇気をもって一歩踏み出すだけで、何かが変わる。時には大きく変わる人もいる。 夕刊紙記者から、ベトナム株の情報提供と、日本初の投資教育SNS事業などを始めた宇都宮さんの「社長日記」を久しぶりに覗いてたら、ドキドキしてきた。彼はすでにベト…

鎌倉トレイルラン〜頭を空っぽにしてすこし野生に戻っていく 

Run

走りながら森の中に溶け入っていく。あちこちにある木々の根っこを踏まないように、下りで加速する際にはできるだけ上体を斜面と平行にたもちながら、ピッチ走法で細かいステップを刻む。下りで左右にカーブする際には、さらに身体が加速する。だから足元に…

病と向き合う人の言葉が、ぼくを強く揺さぶる理由 

新聞記事の言葉にグッとくることは少ない。だが東京新聞の6日付け夕刊で、そんな幸運にめぐまれた。 2005年に早期の乳がんが見つかった、女優宮崎ますみさんの言葉だ。除去手術後、抗がん剤治療より副作用が比較的少ないといわれるホルモン治療を選択し…

NHK総合「HASライブ」〜静かな湖面に立ち上がる凍れる青き熱情 

ひさびさに夕方、走る。走り出してすぐに、右太腿の張りを感じる。そのため終始、慎重に低速で走る。いわば慣らし運転。体調は毎日微妙に異なることが走ることでよくわかる。昔にくらべて、そういう変調により敏感になっているのは、体力的な衰えのせいだろ…

僕にとってカッコイイ大人とは―ひさびさにテレビ界の重鎮に感じたもの

「カッコイイ〜」 エレベーターが閉まると、思わずそうつぶやいてしまった。同行のカメラマンなどに笑われた。ひさびさにカッコイイ大人に会えた。テレビ界の重鎮Sさんとしておく。 では、何がカッコイイのか。66歳にしてなお情熱的に仕事について語れる…

東京新聞❤ラブ!〜ミクロからマクロを貫く鋭利な洞察力 

機会があれば、7月2日付け東京新聞朝刊26面の特集、「いじめと生きる」最終回を読んでもらいたい。 「臭い」「デブ」「チビ」子どもたちの遠慮のない本音に直面する中学校教師の言葉から、その記事は始まる。それに続くのは、理解の遅い子に合わせて授業…

橋本治著『「わからない」という方法』〜「わからない」の向こう側にある豊穣さ 

ここ10日間ほど、一冊の新書を寝る前につらつらと読み返していた。すでにあちこちに折り目があるのだけれど、改めてページの端を折りたくなるところがいくつかあった。そこで前回はページの上端を折ったので、今回は下の端を折っていった。なんだか同じ本…