2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

三島由紀夫『春の雪』〜遺作にただよう爛熟の気配

読みすすめる度に溜息がもれる。そういう小説家ってそういない。すでに高校や大学でも、いくつかの三島作品を読んで、その天才ぶりには感嘆させられていた。が、自分がかりそめにも文章を書いて生活するようになって、改めて読み返してみると、より惚れぼれ…

庭園植物記展(東京都庭園美術館)〜勅使河原蒼風と中川幸夫、それぞれの壊し方

art

ぼくにとって美術館に行くのは、パソコンの「更新」ボタンを押すのとちょっと似てる。つまり、自分をいったん消すとか、リフレッシュする感じがする。んでもって、ちょっとイイ「更新」ができると気持ちがグンとよくなる。エネルギーをもらうから。 説明書き…

アラン・クリスティ氏『戦争の記憶をめぐる国際共同アーカイブの提案』〜現在を常識化してしまう危険性

打ち合わせを終えてから、東大本郷キャンパスに行ってきた。『戦争の記憶をめぐる国際共同アーカイブの提案』とは、太平洋戦争の戦跡の多地点撮影をもとに作成された360度の全周囲映像のデータと、そこにある戦跡を示すモニュメントや、人々の語る戦争の…

チャールズ・ブコウスキー『ブコウスキーの酔いどれ紀行』(河出文庫)〜マンホールぐらい視野で世界を

たとえば、マンホールぐらいの視野から、人々の往来や世界のありようを見ることができれば、ぼくの人生観ももっと謙虚になれるはずだ。人生にあまり期待しない視点が獲得できたら、もっと楽だろうなということは理屈ではわかるが、なかなか難しい。たとえば…

サイト画像で見せる検索エンジン「MARS FLAG」は面白い

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大手検索エンジンは、あくまで文字情報として、アクセスの多い順に該当するURLを表示してくれる。この「MARS FLAG」は、それをURLではなく、そのボータル・サイト画像などで見せてくれる。 だからグーグルのイメージ検索とも違う。そのサイト画像で、もっと…

人間臭さの王国〜小学校サッカー観戦記は意外とイイ

遅く起きた日曜日、あんまり気持ちいい晴天だったので、散歩がてら奥さんと近所のモスバーガーに出かけた。そこでテイクアウトして、近くにある大きな公園に行く。うちの夫婦では、日曜日の朝の、ひとつの定番の過ごし方だ。 だが今日は、公園内にある小学校…

アドレナリン

テレビを観ながら、ジムのランニング・マシーンで走っていた。 「人間が体内で作り出せるドラッグ、アドレナリン」−身長190センチは裕にありそうな背広姿の黒人司会者が、テレビでそう喋り始めた。 「そのアドレナリンを求めて、いろいろなスポーツに取り…

『希望のニート』韓国語版発売!

韓国の弘益(ホンイク)出版社から、今月6日『希望のニート』韓国版が出版された。改題は『働かない人たち、働けない人たち』。ハングル読みで『イルハジアンヌン・サランドゥリ イルハジモッタヌン・サランドゥリ』だ。パチパチパチ・・・。 出版社の書評…

GripBlog〜市民記者ブログがつかんだ洞察力

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あれこれネットを見ていて、偶然に『GripBlog』を見つけた。自称”元おばちゃんOL”が退職後、一念発起でルポライターになろうと始めたブログ。現在、ブログからの収入はゼロで、貯金を取り崩しながらの生活らしい。彼女の武器は、自分で取材をして書くこと…

アベコベアベコベ 

昨日、東中野のポレポレタイムス社で共働学舎の収穫祭があり、そのトークショーに参加した。「へぇー」や「ふーん」が何度かあって、楽しい時間だった。共働学舎は、農業や酪農などを軸にした共同体。長野、北海道、東京など国内にいくつかの拠点をもつ。く…

日テレ『世界で一番受けたい授業』に筑紫みずえさん登場!

ここでも何度かご紹介している、「エコファンド」の生みの親、筑紫みずえさんが、日本テレビ「世界で一番受けたい授業」に登場された。今日は環境アナリストとして、「100円でできること」というテーマで、世界の子どもたちの貧困や飢餓、教育、病気予防…

約2億台VS約1000万台〜携帯電話普及台数にみる日本メーカーの錯覚

約2億台とは、フィンランドの「ノキア」が製造する携帯電話の年間販売数。それに続くのは米モトローラと韓国サムスンの約1億台。ちなみに日本の最大手携帯メーカーは年間1000万台にすぎないらしい。数10社ある日本の携帯メーカーの総生産台数でも6…

茂木健一郎『脳と仮想』(新潮社)〜心を傷つけられることと創造の因果関係

電車で本を読んでいて、ひさびさにグッときた。グッときたから、あわてて黄色のポストイットを、ぼくはカバンから取り出した。まだ半分ぐらいだけど、そのエッセンスを抜粋引用してみたい。 「一見逆説的なことに、すぐれた芸術作品には、どこか、人の心を傷…

『おい、小池!』の行方が気にかかる

ここ数年間で、一番のキャッチ・コピーだ。なにせ、殺人事件の小池容疑者の顔写真の右隣に、 『おい、小池!』 である。こういう手配写真では、めったにない呼びかけ調。しかも、それだけ。数ヶ月前、大阪で見た「チカンはアカン」の2・5倍は優れてる。ま…

ヤンキース、今シーズン最後の試合で

NYタイムスのweb版に、松井のコメント(下記)が出ていた。3戦まで好調だっただけに、4、5戦目のノーヒットは本人がもっとも悔しいだろう。 "If I had hit in those opportunities, maybe the game would have been a little different," Matsui said thr…

「無責任な消費者」から見えてくること〜友人とのメール交換から

同じ業界でがんばっている「ふらっとブログ」さんと、ここ数日、続けてメールを交換している。それは彼の「無責任な消費者」という言葉に、ぼくがとても引っかかるものを感じたから。 彼は、多くの個人ブログやHPは商品やサービスの感想などが多く、神様みた…

『小林秀雄対話集』(講談社文芸文庫)〜「目ん玉」達人と「ボディ」への視点、そして回り道へ

ときどき、回り道は必要だなぁとしみじみ思う。なかなか貧乏性がぬけずに、できるだけ短く直線距離で行こうとしがちだけど、ふいに回り道したときに、気になる店を見つけたり、気になるモノに出合ったりすると、嬉しい半面、とくにそう思う。心に余裕がない…

神山典士『初代総料理長サリー・ワイル』〜1人のスイス人によってもたらされた、日本のフランス料理の壮大な軌跡と青春群像

初代総料理長サリー・ワイル作者: 神山典士出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (10件) を見る この本を読んでいて、私がグッときたのはエピローグだ。南仏のとある村にあるフランス料理界…

wikinewsという挑戦〜ニュースをオープンソース化する可能性

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情報発信のダウンサイジング(あるいは民主化)ー個人のHPやブログで行われていることは、つまりそういうことだ。以前はマスメディアが情報発信する権限を独占していて、情報の流れは一方通行だったけれど、パソコンとインターネットの普及で、誰もが情報発…

ヤンキース地区優勝を目撃!

右写真は10月2日午前5時55分の朝焼け。ヤンキースがレッドソックスを8対4で破り、地区優勝を決めた記念にベランダから撮影した。 「まい泉」から戻って、ふたたび原稿を書いて、深夜0時すぎから走りに出た。そして走り出して18分ぐらいで、右太も…

「まい泉」本店の黒豚ロースカツ膳〜やわらかい肉と肉汁の旨味におぼれる

スポーツの秋にふさわしい晴天の下、ジムに行くのも我慢して朝から黙々とキーボードをカチャカチャ鳴らし、夕方、奥さんと原宿で待ち合わせて、まい泉青山本店へ。狙いは前回初体験した黒豚ロースかつ膳2940円。奥さんは沖縄産の紅豚ロースカツ膳234…