2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ダークサイドからの逃走』〜全体像のない世の中と向き合うこと(2)

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全体像の見えにくい世の中をどう表現するのか。その観点から感心させられたのが、橋本公さんの<1945−1998>。1945年から1998年まで、世界の地上・地下・大気圏内・海面下で行われた原水爆実験の回数を知っていますか。なんと2053回にも及ぶらし…

『人間の未来へ・ダークサイドからの逃走』(水戸芸術館)〜全体像なき世の中と向き合うこと(1)

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美術展などを観ていて、あっ、オレだ、と思うことが時々ある。終わり間近の水戸芸術館現代美術ギャラリーに出かけて、ひさしぶりにそう思える作品と出会った。韓国人アーティスト、スゥ・ドーホー氏の『落下傘兵Ⅱ』がそれだ。 その色とりどりのブラウスの集…

『レンタルお姉さん』発売開始!〜「大手新聞社の取材をうける」の巻

今日の午後、都内で大手新聞社社会部の方とお会いして、明日発売の拙著『レンタルお姉さん』についての取材を受けた。取材するのは仕事だが、受けるのは一冊目の本についで、わずか2回目。あまり他人の取材に同席することはあまりないので、いい経験になっ…

『めざせNATIVE関西人』〜関西弁の懐深さを思い知るがいい!

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以前、当HP宛てに、「関西人の彼氏に『お風呂で溺れんように気ぃつけや』と言われたのですが、どう答えたらよかったのでしょうか」との質問が来たことがある。この場合のぼけ方としては、例えば「私、エラ呼吸できるもん」などが考えられる。この場合の彼…

福砂屋の「手づくり最中」を買った理由

もうすぐ書店に並ぶぼくの本に、推薦文をくださった女優のNさんの事務所に、担当編集者N君とともにお礼に行ってきた。中目黒駅で待ち合わせたN君が、手土産がないという。そこでNさんの事務所をまず確認してから、目黒川沿いをうろうろしていたら、見つ…

武田徹著『「隔離」という病い』〜「当たり前」が共有されない世の中を生きている諦念と自覚

近年、メディアの表現力が極端に低下してしまった。いや、その情報を受けとる側が退化したのか。 人を殺した少年たちはただちに”極悪人”として摘み出され、江戸時代の「市中たらい回しの末の獄門」みたいに、顔写真まで晒される。その理由は、たしか少年たち…

杉原輝雄選手、日本プロゴルフツアーで68歳10ヶ月の世界最年長予選通過という快挙

「最近、土日にゴルフしたことないからねぇ。やり方忘れたかもしれん」 テレビのスポーツニュースを観ていて、杉原さんらしい喜びの表わし方に苦笑せざるをえなかった。ちょうど今月末に二冊目の本ができたら、杉原さんにもお渡ししようと思っていた矢先の予…

『新・庭園倶楽部』(ワタリウム美術館)〜「然(さ)び」という考え方の妙味

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高温多湿のモンスーン気候下にある日本では、庭の芝や石が苔(こけ)むしたり、石にカビが生えたりする。それは湿度の低い西欧ではありえない現象らしい。 苔やカビはいわば腐っていることなのだが、そういう形で時間が積み重なっていくこと(時間の積層性)…

築地・虎杖(いたどり)の海鮮ひつまぶしとクオリティ・ライフ

美味かったぁ〜、虎杖(いたどり)裏店の海鮮ひつまぶし(右上写真)。まず、ちらし寿司のような感じで出てくる。何もつけずに食べてみても、新鮮な魚の甘みと、ほどよい酢飯の相性がいい。次にわさびとしょう油の振りかけても、ほど良くコクが出て良し。さ…

武田徹著『「隔離」という病い―近代日本の医療空間』

ハンセン病患者の隔離政策の下、日本各地に生まれた療養所と、大東亜共栄圏の出発拠点となるはずだった満州国。どちらも一見、風光明媚な場所に作られていながら、実際にはそこで暮らす人たちの暮らしの質は一切考慮されていなかった――その天と地ほど出自の…

「神田藪そば」での平日昼間のまったりビール

手頃な費用で、自分なりの極上の時間を過ごすこと―大阪人ゆえか、あるいは単に金欠病のせいか、そういう執着はかなり強い方だと思う。っていうか、どうせいつかは跡形さえなくなる生き物には、それが最高の抗い方だから。 平日午後の極上の時間スポットのひ…

安倍司著『食品の裏側』(東洋経済新報社)〜幸福を実感しにくい国

今月末に出る私の本の編集担当者N君(26歳)が、今夜のTBS『ニュース23』に映っていた。食品添加物をテ―マにした今夜の特集で、彼が担当したベストセラー(現在30万部)『食品の裏側』の著者が登場していた絡みで、彼も映っていたのだ。その本がわんさ…

『ブロークバック・マウンテン』〜導入の約1分間と音楽は良かった

暗がりの大平原をヘッドライトを照らしながらいくトラックの遠景。その静かな映像に、爪弾かれるギターの音色がかぶる―ちょっとヴェンダースの『パリ、テキサス』風な導入部は好きだった。でも、この場面も割とあっさり終わり、まず最初の「膝カックン」だっ…

斉須政雄さんの言葉〜厨房から生まれる料理みたいな「本質」

ひさしぶりに「ほぼ日」を見ていて、斉須さんの言葉『調理場という戦場』を見つけた。静謐(せいひつ)で、贅肉(ぜいにく)のない言葉だ。ぼくにはどこか聖書めいて響いてくる。なんども読み返すだろうし、その度に胸にグッとくる箇所は違うだろう、そんな…

般若心経というテキストの妙味〜エッシャーの騙し絵のごとく

13日の日誌への蘭×さんのコメントから、話はググッと深まっていく。 まず国語辞典を引くと、「あきらめる」には「諦める」と「明らめる」がある。ぼくは「明らめる」の存在を知らなかった。前者は「思い切る」「断念する」の意味だが、「明らめる」は「物事…

座禅2回目〜ロウソクノ ホノオミタイニ ユレルオレ

地下にある座禅堂の中にいると、いろいろな音がまさに雨後の筍のごとくに聞こえてきて面白い。近くを走る地下鉄の振動音、隣の人の大きな息遣い、対面の人のお腹がキュルキュルと鳴る音(腹式呼吸をすると胃腸の働きが活性化するからか)、咳払いが聴こえて…

東大のイタリアンレストラン潜入

ある女優さんとお会いするために、文京区本郷の東大に出かけた。東大・赤門近くにできた新校舎の13階にあるイタリアンレストランで、ランチをご一緒するためだ。 この校舎のエレベーターがすごい。微生物学、生態学、動物臨床、神経生理や免疫生理学なんた…

魅力的な自分

「まず、自分が魅力的であればいいんですよ」 あるビジネスマンのそんな言葉が耳に残った。えらい自信だなぁと思った瞬間、職業病からか、より具体的にとたずねたら、次の彼の答えがさらに面白かった。 「人それぞれ、興味や関心があることって違いますよね…

都写真美術館『私のいる場所』展〜みうらじゅんとエゴン・シーレの<明と暗>

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初めてエゴン・シーレの自画像を観たときから彼の絵が好きだ。今も仕事場の机の前に、オレンジ色のガウンを着た廃人のような自画像を一枚かけている。 最初にその自画像を観たのは、たしか高校時代だ。一見、廃人や病人にさえ見える、その醜悪な自画像の裏側…

本当に必要な情報が流通しない世の中

昨日、NHKでガン患者さんたちが出演した2時間番組を観た。その番組を観るまでガンにかかった場合、障害年金の申請ができることを僕は知らなかった。自らガン体験をもつ、タレントの小堺一機さんの次の言葉も、胸に残った。 「ガンは少し高い場所に置かれ…

遅まきながら『ディープ・ブルー』に呑み込まれた夜

レンタルしてきたドキュメンタリー映画『ディープ・ブルー』を夫婦で、ダイニングの明かりを消して観た。英国BBC放送製作だ。以前、ぼくは映画館で同放送製作の『WATARIDORI』を見ているが、それ以上に面白かった。 シャチが浜辺まで乗り上げて…

椿逝く

はるに堕ち 泡ふきうかぶ かんつばき

上野千鶴子・趙韓恵浄著『ことばは届くか』〜日韓フェミニストの視点に触れる

『希望のニート 現場からのメッセージ』を読まれた趙韓恵浄(チョウ・ハンヘジョン)さんが、本の著者の二神さんに会いたいということで、私も二神さんに呼ばれてお会いした。もう一ヶ月近く前のことだ。フェミニストということで、少々緊張しながらお会いし…

MAJOR.JPはコンテンツが豊富

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MLBが始まった。今までスポーツナビで関連情報などを見ていたが、MLBはMAJOR.JPの方が、ビデオ映像と文字情報ともにコンテンツが豊富。夜になれば、今日の日本人選手の活躍映像が見られるから、スポーツニュースを見る必要なし。モバイル環境…

春の雪

桜の木の根っこに、青々とした苗を見つけました。けっこうニョキニョキ出ています。まるで小さな噴水のようです。そして右写真のように、かわいい桜も顔をのぞかせているのです。ちょっとした発見ですな。さっき、奥さんと近所の桜見物に出かけたのですが、…

祝桜3

くるくると はらはらと堕つ はるのゆき

祝桜2

すづくりの 烏もかすむ はなみごろ