2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

弁柄(べんがら)色の祝福

還暦を過ぎたら、身体は老いていくんだけど、内面はむしろどんどん若返るのよ。だからもう60年、つまり私、120歳まで生きちゃうかもしれないわよ。たとえばね、食べ物の好き嫌いが逆転して、子どもの頃に嫌いだったものが近頃ふたたび嫌いになったりと…

2012年の孤高の描き方〜イーユン・リー著『千年の祈り』

千年の祈り (新潮クレスト・ブックス)作者: イーユンリー,Yiyun Li,篠森ゆりこ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/07/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 69回この商品を含むブログ (79件) を見る 従妹との結婚で障害のある子供を授かった夫婦や、一人…

16人のお客さんと『星影の小径』〜「土と平和の祭典」(日比谷公園)

NPOトージバさんのブース隣で、拙著を並べて、昨日の朝から夕方までで16人の方々に買っていただいた。最初の3時間は1冊も売れなくて、どんどん不安はふくらんでいったが、まぁ、最初にしてはまずまずか。いやぁ、誰かにモノを買ってもらうのは大変だなぁと…

「in other words」の粋(いき)

晴天だったので、来月2日のハーフマラソンを見すえて2時間半走に挑戦。1時間50分は切れるはずだから、6.7キロ弱多めの距離。後半少しスピードアップしたら、案の定、残り30分でガス欠状態に。み、みっ、惨め。 夕食後、ひさしぶりにナット・キング…

「囚人」の切れ味 〜 イーユン・リー『黄金の少年、エメラルドの少女』

束の間でも我を忘れられるなら、できるだけ巧妙に、そして甘美にだまされたい。うすのろな日常を生きているからこそ、人は大なり小なりそんな願望を抱えている。恋愛も、詐欺も、そして小説も、それらに手を伸ばす人の心の隙間はとても似ている。そしてイー…

「入れ歯」や「はげ」の魔法〜星野源(NHK「佐野元春のザ・ソングライターズ」)

「こんにちは」や「ありがとう」といった月並みな言葉でこそ、人の心を震わせるために、今まで多くの優れた歌や映画や小説が生まれてきた。 だから、「入れ歯」や「はげ」といった普通は歌にならなそうな言葉を、浮くことのない歌にしたいなぁというところか…

 日・中・韓・朝の狭間を埋めるトーク&コンサート

作家で韓国で出版社を経営する戸田郁子さんから、以下のお知らせが届きましたので、転載します。ご興味がある方はぜひ足をお運びください。2012年11月24日(土)午後6時〜8時半 参加費1500円 さいたま市民会館うらわ コンサート室 (1JR浦和駅西口下…

見えない身体、見えない動き

Run

その店を出てから新たに買ったシューズの入ったケースとカバンを左手に持ちかえ、ぼくはそそくさと歩き出した。爪先に神経を集中し、頭の中では両足を「ハ」の字にするようなイメージで、テンポよく進む。だが、両肩は少し力んでしまい、背中もこころなしか…