2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

福岡伸一『生物と無生物のあいだ』

前日の文章を踏まえて、このフレーズを読むと、ちょっとシビれる。 エントロピー(乱雑さ)増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れの中に置くことなのである。つまり流れこそが、生物の内…

福岡伸一『生物と無生物のあいだ』(講談社新書)

夏炉冬扇。 だって、「50万部突破」なんて本は、そもそも苦手。 それでも、爆笑問題の「爆問学問」に出てた福岡さんの話に、ふっと惹かれて読んでみた。普段手にしない理系本というエクスキューズもある。 この本の、私にとっての肝は2つ。 まず、成熟ネ…

日興証子の運命やいかに!

金融業界の一部で流行っているブログを、友人が教えてくれた。 タイトルは、「三菱と日興 愛と憎しみの物語」。男女関係になぞらえている分、門外漢が読んでも、わかりやすくて面白い。この話を頭に入れておけば、今後の金融業界の動きをかなり楽しめるはず。…

本橋成一監督『バオバブの記憶』(文末にyoutube映像があります)

「バオバブには魂が宿っているから、薪に使っちゃいけないんだ。燃やすと、魂が怒って火事になるんだ」 映画『バオバブの追憶』の冒頭、アフリカ・セネガルの少年の言葉が印象に残ります。バオバブとは、サン・デグジュペリの『星の王子様』に出てくる、あの…

本橋成一監督『バオバブの記憶』(ポレポレ東中野、渋谷シアター・イメージフォーラム) 

忘れられない場面があります。 彼は「ほら」と言って、最後のガムの半分を、ぼくに分けてくれました。東中野の、今はなき喫茶店のカウンタ―席。彼が、アフリカで見たバオバブの樹について熱っぽく話すのを、ぼくは隣でうなづきながら聴いていたのです。樹齢…

寺島実郎さんの、違和感のじつに柔軟なひっくり返し方〜日経ビジネスオンライン

はぁ〜〜〜。 フレキシビリティって、きっと、こういうことを言うんやろうなぁと、ため息がもれた。 日経ビジネスオンラインの伊東乾「常識の源流探訪」。 寺島実郎さんをゲストに迎えた、<オバマ「グリーン政策」は「IT革命」を超えるか>が面白い。 対…

長谷川櫂『俳句の宇宙』(花神社)〜そのスケール感覚にひたる

長谷川さんは、この本で波郷の次の一句に着目している。 霜の墓 抱き起こされしとき 見たり この句を、散文のように、「霜の墓が抱き起こされたのを私は見た」とか、「私は抱き起こされたときに霜の墓を見た」と読んではならないと書く。それは散文の読み方…

中目黒「ambiance」の大平シェフ、TBS「はなまる」登場!

12日放送のTBS「はなまるマーケット」に、大平史人シェフが登場。ベルギー修行時代の、まかない料理、ヘルシー中華鍋の作り方を実演していました。いやぁ、虻ちゃんとのからみがなかなかいい味出してた。 「シェフって、最初はステキと思って、今日は緊…

アトリエシエスタ作「ノエルの朝」〜縮こまる世の中にこそ午睡(シエスタ)

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先日、シエスタとひさしぶりに電話で話したとき、新作ビデオ「ノエルの朝」のことを知った。あかねちゃんが作ったキャラクターを、ちょっとずつ動かしながら動画に撮りためて、4分を超えるビデオをつくったという。わずか4分強の作品で、そのコマ数が10…

加藤昌治著『アイデアパーソン入門』(講談社)

1月早々の発売にもかかわらず、お知らせが遅くなりました。 昨年、この本の「先取りQ&A」製作会議に、私も出席させていただきました。加藤さん3冊目の本に、微力ながらお役に立てればという思いからです。出版社の一室で、10数名の参加者とともに、ま…

高橋玄監督『ポチの告白』〜リアルな細部が築きあげた社会派エンターティメント 

ちょっと告知が遅くなりましたが、映画『ポチの告白』が新宿K's cinemaで、先月24日から上映中です。友人のジャーナリスト、寺澤有くんが原案協力していて、ぼくは試写会で観せてもらいました。 警察組織で、一人の生真面目な警官がたどっていく末路が、リ…