2005-01-01から1年間の記事一覧

批判を許さない空気

誰も彼もが「カズさん、すごい」を連呼する空気に、ぼくも、嫌〜な感じをもっていた。開催中のトヨタカップの、オセアニア代表チームにレンタル選手として参加している三浦和良選手をとりまく空気のこと。断っておくが、三浦選手個人ではなく、彼をとりまく…

冬をもっと寒くする

晴れた夜空にきれいな満月が浮かんでる まだ小学校の校舎には灯りがちらほらついていて すっかり葉を落した公園の木々の枝ぶりが 冬をもっと寒くする。ハァーハァーという音と白い息を吐いてるオレ 40歳過ぎても、けっこう走れるじゃんオレ 4車線道路のエ…

大島弓子『毎日が夏休み』〜繰り返し読んでも、感心させてくれる一冊。

ご無沙汰です。昨日の早朝、ようやく原稿用紙700枚近くの原稿の推敲が終了。来春発売予定の私の本の原稿です。これで担当者からあまり修正要請がないと、いい年を迎えられそうなんだけれど・・・。 本当ならジムに行って汗をかきたいんだけど、睡眠3時間…

北野武『TAKESHIS’』〜映画で「自分」を殺さずにはいられない映画監督

先日、生け花の「型(かた)」について書いた。昔、生け花を少しかじってみて痛感したのは、その型を壊すことの難しさだ。2本の枝とひとつの花をこの角度で入れれば、誰がやってもカッコよく見える。それが型だ。文章でいえば文法か。 だが、しばらくやって…

菊地成吼『セレクション ロックとフォークのない20世紀』〜2006年のぼくの音楽ナビゲーター

原宿の歯医者の帰り、青山ブックセンター本店で、サキソフォン奏者、菊地成孔の新刊本を見つけた。ロックとフォーク以外のオールジャンルのCD200枚推薦本。来年はもっときちんと系統立てて音楽を聴きたいと思っていたので、心強いナビゲーターを見つけ…

AccuHolidays!で、クリスマス気分満喫

WEB

最近、原稿を書きながら、よく聴いている。やっぱり、この時期はクリスマス気分を盛り上げてくれる音楽が、いちばんピッタリくる。AccuHolidays!。ジャズ・ポップス・カントリー・R&Bなど、それぞれのジャンル別クリスマス版選曲が聴けます。職場の方はご注…

「今の方が良く生きている」と彼は言った

世界的な免疫学の権威、多田富雄さんの『免疫の意味論』については、以前ここでも書いた。 その多田さんが脳梗塞に倒れられてからの日々を追ったNHKスペシャル(今月4日夜放送分)のビデオを、ようやく今夜観た。笑ってしまったのは、左手一本で六時間ほ…

北斎展(2)〜見えないものをこそ描こうとする「絵描きバカ一代」

art

北斎といえば、「冨嶽三十六景」が有名だけれど、ぼくはもっと地味な作品に惹かれた。たとえば、題名は忘れたが、一列縦隊で飛ぶ鳥が、折からの突風にあおられ、その隊列を乱しながら飛ぶ様子を描きとめた作品。 この絵の主眼は、鳥ではなく、彼らの隊列を乱…

肥大する竹中郵政相の発言権だって

日経新聞のHP「NIKKIEI NET」の下に、「NET EYEプロの視点」というコーナーがある。 11月30日付けで、そこに、小泉改革の司令塔「経済財政諮問会議」の異変という論説が掲載されている。この記事は、今、小泉政権内で起きている変化が伝えられていて面白…

北斎展(1)〜生け花っぽい構図

art

えらい人だかりの中で、北斎の絵をあれこれ見ていると、すごく生(い)け花っぽいなぁと思った。その空間の構成法が似ている。 たとえば、草月流の生け花の基本形は、一番長い枝である真(しん)・二番目に長い枝の副(そえ)・最も短く、真や副とは反対方向…

イサム・ノグチ展(2)〜円く削ることでより強固に結びつける

art

いろんなところで、書かれていることだが、ノグチはこの黒花崗岩に「大地」もしくは「地球」という惑星をダブらせている。石のもつ厚みは地層に似ていて、膨大な時間に培われたものだから。しかもこの石は、通常灰色で表面は凸凹があるが、磨けばじつに味わ…

イサム・ノグチ展(都現代美術館)(1)〜技巧から素材へ返ること

art

今週末で終わる「イサム・ノグチ」展に出かけた。点数はあまり多くなかったが、個人的にはいろいろ考えること、教えられることもあって良かった。右上の本の愛読者としても、昨年冬、取材のついでに札幌のモエレ沼公園を吹雪の中を出かけて、休園で入れなか…

アート・ペッパー『ミーツ・ザ・リズムセクション』

CD

最近、CS放送の音楽100チャンネルで気に入って、MDに落してよく聴いているのが、この一枚。かなりのへビィ・ローテーションだ。とりわけ2曲目の「レッド・ペッパーブルース」がカッコイイ。音と音の隙間でこそ聴かせるっていう感じがいい。文章でい…

「後ろ盾じゃんけん」の視点から国際政治を見る?!

小泉がブッシュを京都に招いて、「忠犬」として尻尾を振りつつ、中国や韓国に靖国問題で強気を崩さない態度って、どうよ。 その小泉とは違った後ろ盾で、ブッシュに喧嘩を仕掛けている男について、田中宇さんが書いている。その視点は、「石油で世界を多角化…

気分はもう「高橋」

高橋尚子とともに、おれも東京の街を駆け抜けた。もちろん、時間帯とコースはまるで違う。距離は全部で2・5キロぐらいで、しかも途中ウォーキング付きで、うちの近所周辺の遊歩道・・・。たとえスピードは遅くても、イワシ雲の下を走って汗をかくのは爽快…

灯台下暗し

好きなことを仕事にしているつもりなのに、恥ずかしながら、時々忘れる。頭の中で「仕事」という言葉の方がふくらんでしまうから。 NHK金曜夜の「にんげんドキュメント」を観ていて、それに気づかされた。三重県の高校で、家庭でできるシーフード料理の全…

豊島区南長崎「鰻家」で鰻食べ尽くしの夜

ペルーから親戚のS氏来日で、S氏の酒友K氏ごひいきの「鰻家」(西武池袋線・東長崎駅近く)へ。 ここはまず、肝焼きから出てくる。この濃厚な味は絶品。さらに今回は、レバーの串焼き、頭(かしら)の南蛮漬け風(右上写真)などが初お目見え。上品な味の…

フジモリ・元ペルー大統領の今後

まるで、映画になりそうな展開だ。日本亡命後、現トレド政権から数々の「罪」に問われた日系人元大統領が、隣国チリにチャーター機で戻った。 だいたい、日本からどうやって、チャーター機で、メキシコ経由でチリに入れたのか?日本政府の密かな支援を想像さ…

早生みかんに操(みさお)を立てる男

11月は温かいお茶と、みかんがグンと美味しくなる季節だ。ぼくにとっても、リーズナブルに幸福になれる時期ということになる。とりわけ、みかんは子どもの頃からの大好物で、ヨダレかけをべちゃべちゃにしながら、みかんを頬張っているご幼少の頃のモノク…

1000円のウォーム・ビズ〜マイクロフリースパンツはスグレモノ

奥さんに、1000円のユニクロのフリースパンツ(紺色)を買ってもらった。まぁ、フリースのパンツ版なんだけど、これが意外と温かい。商品名はマイクロフリースパンツというらしい。フリース上着は2着持っていて、冬場は部屋着として重宝していたのだけ…

「市中の隠」を遊ぶ〜ワタリウム美術館「庭園倶楽部」最終回

「市中の隠」という、いい言葉を教わった。室町時代に貴族の趣味であった茶道を、千利休が一般にも開放する中で、この言葉を広めたとされる。平たく言うと、「都市の日常の只中でこそ、隠居気分を満喫する遊び心」。昔、隠居は世俗を離れることの象徴で、山…

頭と心と身体をバランス良く使って

北海道の養豚場で2週間ほど働いてきたAさん。彼女と話していて、とても印象的だった言葉がある。 「しっかり身体使って、汗かきながら働いてると、ポッポッといいアイデアが浮かんできたんです。東京にいると、なかなか味わえない体験でした。頭と身体と心…

岡本太郎の「太陽の塔」のモチーフは原爆!?―石井竜也の卓見

NHK教育の番組で、岡本太郎について石井竜也が面白いことを言っていた。(来週も続くらしい) あの「人類の進歩と調和のシンボル」として知られる岡本の「太陽の塔」は、原爆をモチーフにして、それを乗り越えていく人類の英知を表現したのではないかと。 岡…

NHK教育『夜回り先生・永谷修のメッセージ2』〜圧倒的なリアリティの強度を突きつけられて

ちょうど去年2月、ぼくの初めて本が書店に並んだとき、よく隣に並べられていたの水谷修さんの『夜回り先生』(サンクチュアリ出版)だった。ご存知の人も多いと思うが、水谷さんの本は、その後ベストセラーになった。 その理由が昨日、彼の電話相談や学校な…

北野武の映画術〜4枚の写真でストーリーを作る

テレビで、北野武がばらばらに撮ったスナップ写真を、4枚並べてストーリーを作ってみせていた。一見、脈絡のない4枚が、意外なストーリーに束ねられていくのを観ながら、そこに彼の映画の文法を見た気がした。 つまり、その4枚の物語がきちんと整合性がと…

深夜ラジオファン

どうにか原稿を書き終えて、リリー・フランキーの『J−WAVE』らしくない『ナイト・ストーリーズ』を、カップ酒を飲みながら聴いている。この『ナイト・ストーリーズ』は火曜日のクリス・ケプラーもいい。仕事しながら聴くのにいいし、選曲もいかしてる。…

行定勲監督『春の雪』〜李屏賓(リー・ピンビン)の映像に心惹かれた

「ああ〜あ、あ〜ああ、ああ〜あ、あ〜ああ、ああああああ・・・」 そんなサビの、宇多田ヒカルのエンディング曲について、賛否両論あるようだけど、ぼくはこの悲恋物語をきちんと受け止めていてイイと思う。映画以上に、堕ちていく男と女の不条理劇を、歌詞…

三島由紀夫『春の雪』〜遺作にただよう爛熟の気配

読みすすめる度に溜息がもれる。そういう小説家ってそういない。すでに高校や大学でも、いくつかの三島作品を読んで、その天才ぶりには感嘆させられていた。が、自分がかりそめにも文章を書いて生活するようになって、改めて読み返してみると、より惚れぼれ…

庭園植物記展(東京都庭園美術館)〜勅使河原蒼風と中川幸夫、それぞれの壊し方

art

ぼくにとって美術館に行くのは、パソコンの「更新」ボタンを押すのとちょっと似てる。つまり、自分をいったん消すとか、リフレッシュする感じがする。んでもって、ちょっとイイ「更新」ができると気持ちがグンとよくなる。エネルギーをもらうから。 説明書き…

アラン・クリスティ氏『戦争の記憶をめぐる国際共同アーカイブの提案』〜現在を常識化してしまう危険性

打ち合わせを終えてから、東大本郷キャンパスに行ってきた。『戦争の記憶をめぐる国際共同アーカイブの提案』とは、太平洋戦争の戦跡の多地点撮影をもとに作成された360度の全周囲映像のデータと、そこにある戦跡を示すモニュメントや、人々の語る戦争の…