北野武の映画術〜4枚の写真でストーリーを作る

 テレビで、北野武がばらばらに撮ったスナップ写真を、4枚並べてストーリーを作ってみせていた。一見、脈絡のない4枚が、意外なストーリーに束ねられていくのを観ながら、そこに彼の映画の文法を見た気がした。
 つまり、その4枚の物語がきちんと整合性がとれてさえいれば、その狭間で、いかにギャグやシリアスで遊んだとしても、映画としてはじゅうぶん成立するということだ。
 その番組では黒澤明監督を北野が訪ねたときの映像が放送され、「北野君の映画は、説明がないのがいい」と黒澤がほめていたが、それもこの4枚文法ゆえだろう。
 ちなみにその番組で、北野自身は「この写真が10枚あれば映画はできる」と語っていた。このアイデアはしがない文章書きにも応用できそうだし、新作『TAKESHIS’』を、こんな視点で観てみるのも面白い。