2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

田口ランディさんの当事者意識

少し前の東京新聞に出ていた「いじめ問題」へのランディさんの寄稿文はいきなり導入部分がいい。 ごめんなさい。 まず、私は子どものみなさんに大人として謝らなければなりません。大人の社会にはいじめがいっぱいです。お年寄りから年金をだましとり、平気…

加藤昌治著『アイデア会議』〜やさしくて客観的な視座

まさに細部にこそ神ならぬ、本質は宿ることが、見事に噛み砕かれている一冊。いきなり結論を求める企画会議ではなく、プランナー(とにかく数多くのアイデアを出す人)とディレクター(アイデアを企画にまとめあげる人)の役割分担を明確にした上で、アイデ…

『夜空ノムコウ』でのぼくのサビ部分

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ピアノが弾ける人にとっては取るに足りないことかもしれない。 だが、初心者のぼくにとっては大きな発見だ。ひとつの曲として聴く分には、 あれから ぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ 窓をそっと開けてみる 冬の風の気配がした あたりが、せつなくて苦い…

重森三玲の庭〜「石に乞(こ)う」(2)

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昨日書いた展覧会に興味深い資料が展示されていた。 1939(昭和14)年、三玲43歳のときの本格デビュー作、京都・東福寺方丈庭園を作る際のエピソ―ド。三玲の人となりがうかがえるし、作庭を依頼した和尚の禅問答も笑える。 「・・・少々の礼金でやっ…

重森三玲の庭―地上の小宇宙展(汐留)〜「石に乞(こ)う」(1)

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右写真は、重森三玲の最後の作品、京都・松尾大社庭園の「上古の庭」。三玲79歳の作品と念頭に置いて、この庭の前に立ったとき、ぼくは狂気を感じた。それはパリのオルセー美術館で、他界する一年前のゴッホ自画像に死臭を感じたのとよく似た体験だった。…

技術に走って品性を欠く

ワタリウム美術館の庭園倶楽部最終回。テ―マは、茶庭において再生された燈篭(とうろう)の変遷だった。ちなみに、寺社で使われていた灯篭を茶庭で最初にリサイクルしたのは千利休。織田信長から豊臣秀吉に権力者が移り、世の中が華美や絢爛を重宝するように…

お願い!情報公開して

サラ金、銀行、大蔵省、弁護士をつなぐ強き絆か。前日の記事を10倍パワーアップした記事を、同じくnikkei netの「Biz−Plus」で見つけた。長銀OBでコンサルタントの箭内昇氏の「サラリーマン金融の何が問題なのか」。じつにわかりやすい。日銀総裁…

消費者金融の未返済自殺と、日本を代表する”ご立派な”金融機関の絆

消費者金融「自殺で返済を支えた人たち」―「日経NET EYE」の太田編集委員の記事が面白い。消費者金融からお金を借りて、未返済のまま自殺した場合、消費者団体生命保険から保険金が消費者金融に支払われる仕組みだ。取りっぱぐれないためのその仕組み…

窓の結露と豚しゃぶ

とうとう窓ガラスが結露する時期になった。朝起きて顔を洗うと、まず結露取りから始める。ひと仕事終えた夕方、筋トレを始めるとふたたび窓が曇りだす。そして今夜は湯豆腐から豚しゃぶ、最後は讃岐うどんという冬の我が家の黄金メニュー。湯豆腐にはゆずポ…

大衆という「顔ナシ」

「走るのが早いだけでは駄目。最後は人間としての総合力、人間力がないと世界では勝てない」 先週のNHK総合『プロフェッショナル』に出ていた高野進氏(陸上短距離走コ―チ)の言葉は、とてもぴったりと心に貼りついた。一日中家にいる日は最近、筋トレや…

30分間走2本達成!〜これで10キロはど―にか走れる

「どうしたの?すっごい小顔じゃない!」 帰ると、奥さんから驚かれた。えっ、と洗面台で顔を見たら、じつにすっきりした、心なしかハンサムになったオレがいた。そうか、走って汗かくとイケてくるんだ、おれ。ふふふふふ。 今月の目標だった30分間走2本…

『夜空のムコウ』が弾けた

CD

キーボードを買った動機のひとつが、『夜空のムコウ』が弾き語りできるようになりたい、だった。昔、ジャズシンガーの綾戸智絵さんを取材した際、ライブで何度か綾戸さんの『夜空のムコウ』に痺(しび)れたから。元々、スガシカオさんの作詞作曲も素晴らし…

コンテ(仏)とグラーナ・パダーノ(伊)

それぞれフランスとイタリアで人気の高いハードタイプ・チーズ。特にコンテは、北海道の若手チーズ職人の人から、一度食べてみてと言われていたので探していた。『チーズの選び方・楽しみ方』にも、毎日食べても飽きない美味しさと書かれていて、フランス最…

さすが立花隆!

「将を射んとせば先ず馬を射よ」―そんな長い射程をもった言論をひさびさに見つけた。 東京新聞での、「教育基本法改正背後に潜むもの」と題する立花隆氏の以下のような指摘だ。 (前略)戦後新憲法ができたが、国民のマインドが一挙に変わるわけはない。制度…

レスター・ブラウン『エコ・エコノミー』(家の光協会)〜本当の「美しい日本」になるための教科書

簡潔で、現実的で、しかもシンプルな提言の数々。名著である。 たとえば、森林保護というのは簡単。だが、それはあくまで守る発想の言葉でしかない。ブラウンは、森林が私たちの生活に提供してくれているサービス機能という視点を提供する。保全された森林が…

自家中毒

ネットのコンテンツは3000字が限度で、それ以上はあまり読まれないらしい。30字×100行だ。人気作家が書いたとしても、それ以降はアクセス数が減っていく。有名でない書き手なら急減するらしい。それが雑誌とモニター画面の大きな違いだ。しかも古い…

「わかる」とは何か〜サタカフェ第2回を終えて

「相手を理解しようとする際、人はついつい一方的に、あるいは自分の都合のいいように『理解』してしまいがち。それで相手の上っ面だけをなぞるくらいなら、どのように相手の言うことが分からなかったかを確かめる方がいい」 ゲストの伊勢華子さんとの話の中…

視る力を鍛える方法(2)

村での二日目は午前5時半起床。軽いラジオ体操の後、昨日の背負い子で、下の畑から上の田んぼまで、自家製肥料2袋を上げる。肥料を下ろしてそのまま山へ。雑木林にすでに切り置かれている薪(まき)を下へ下ろすためだ。 この山が急斜面。昨日の山道以上で…

視る力を鍛える方法

最初はそんなに重く感じなかった。ただ、50度前後の傾斜の山道がダラダラと続くと、次第に言葉数がへり、ハァハァという規則的な吐息になり、汗がじわぁっとにじみ、たらたらと顔から首へとつたって落ちていく。 長野県のかなり奥にある村へ行って来た。最…

30分間完走!

取材を終えて帰宅した夕方、走りに出た。20分のウォーキング後、走り出すと体が軽い。前傾姿勢のフォ―ムも安定していて、気になっていた右足の張りも大丈夫そうだ。結局、はじめて30分間走りとおすことができた。嬉しい。エライ!カッコイイ!(・・・誰…

「立冬」でフリース

あんまりないけど、日本人に生まれてよかったと思うことが時々ある。 「立冬」という言葉を持つ国の人間だっていうのは、もっとみんな自慢していい。ふっと背後に冬めいた気配を感じるニュアンスとか、氷柱(つらら)が屋根から下がっている情景。唐突に吐息…

ノンフィクション作家、永沢光雄氏逝去

名作ノンフィクション『AV女優』の著者、永沢光雄さんが今月1日に他界されたことをネットで知った。下咽頭ガンを発症されたことは知っていたが、47歳とはあまりに早すぎる。残念だ。硬く尖った男たちの性欲の標的であるAV女優たちの軌跡と言葉を通し…

土左衛門ポーズの幸福

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肘掛のついた、クッションがよく沈む一人用革張りソファにでも深く腰掛ける要領で、ぼくは湯の中で全身の力をぬく。誰もいない畳二畳分ほどの、銭湯の露天風呂でのこと。これは両腕でコの字型にして、湯に浮かべるようにするのがコツ。他に誰もいないので、…

歌舞伎座の一幕見席で「團十郎」満喫の夜 

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築地を出て、銀座までぷらぷら歩いていると、歌舞伎座前に人ごみ。公演が終わったばかりなのかと思っていると、「一幕見席の方、お一人1000円です」の声が耳に入った。ちょうど午後7時前、あまりのタイミングの良さだ。それに夕食後の歌舞伎見物なんて…

築地の夕方、「虎杖(いたどり)」の小エビ天カレーうどん

夕方、築地で奥さんと待ち合わせて、虎杖(いたどり)本店にカレーうどんを食べに行く。濃くのあるスープが坦坦面に似てるテイストだと、奥さんは痛く気に入っていたな。ぼくはかきうどん。これも鰹節とイリコの合わせダシか、スープを全部飲んでしまった。…

石内都『mother's』(東京写真美術館)―個別から普遍への視線

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以前、洗面所で髭を電気剃刀でそっているとき、いったい死ぬまでにオレはどれだけの髭を剃るんだろうかと思った。その他にも、生涯に美容室で切る髪、口に入れる食物の量、排泄する尿やウンコ、流す涙や垂らす鼻水などなど。さらには生涯に喋った言葉、手紙…

『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』〜ドンブラコ映画のダイナミズム

唸った。シリアスな場面のひっくり返し方が、あまりに斬新だったから。何がって?クドカンの脚本のこと。 岡田准一演じるブッサンが、ユンソナ演じる韓国人ホステスに告白する場面。唐突に韓国語で結婚を申し込むブッサンに対して、ユンソナも思わず韓国語で…

06’サタカフェ第2回、今月11日(土)開催予定〜田町「ヌースフィア」

『普段の暮らしから「地球」を感じ考えてみる ――誰かとつながるヒント、誰かをつなげるヒント』第2回「あなたのたからものってなんですか」――そう言葉をなげながら、24色のペンと画用紙を片手に、世界22の国と地域の子ども119人と出逢い描いてもらった宝物を…