重森三玲の庭―地上の小宇宙展(汐留)〜「石に乞(こ)う」(1)

rosa412006-11-25

 右写真は、重森三玲の最後の作品、京都・松尾大社庭園の「上古の庭」。三玲79歳の作品と念頭に置いて、この庭の前に立ったとき、ぼくは狂気を感じた。それはパリのオルセー美術館で、他界する一年前のゴッホ自画像に死臭を感じたのとよく似た体験だった。だってパンクでしょう、これ。
 かつて日本には神木信仰同様に、石に神霊が宿るという神石信仰があった。盤座(いわくら)とよばれる。この「上古の庭」の奥の森にも、天津盤座とよばれている石がある。もっと平たく大きな石だが、三玲はその精神性をデフォルメしてこの石組みに表現してみせた。凄まじい絶作といえる。
 東京・汐留の松下電工ミュージアムで、「重森三玲の庭」展を観た。来月10日まで開催予定。時代を経ても古びない「永遠のモダン(前衛主義)」をめざした三玲の庭は、どれもたしかに美しくてカッコイイ。それぞれの部分部分が放つ高いエネルギーが、うねりしなるデザインのもとで、凛とした美しいダイナミズムを捕まえている。大胆な構図と繊細な細部、そしてポップな感覚。
 止まっていながら動いているように見える庭だ。