2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

北京五輪情報への引きこもり〜愛ラブ❤東京新聞

渋い!思わず、そう唸った。 「朝日、毎日、読売の全国紙三紙の8月15日朝刊一面から『きょう63回目の終戦記念日』の記事がそろって消えていた。紙面のほとんどは、北京オリンピック関連の記事で埋め尽くされていた」 26日東京新聞夕刊11面の匿名記…

人間国宝の「一生懸命」〜四世中村雀右衛門の米寿祝賀パーティ

「米寿を迎えて」と題する、雀右衛門さんの文章がある。 その中で、もっとも目を引くのは以下の部分。 「女形は、六十にならなければ物にならないよ」といわれ、気が遠くなるような思いをしたのを覚えております。しかし、本当には「やっと物になったかと思…

韓国チ―ム、優勝おめでとう!

強打のキューバを相手に、今日の韓国は投手をはじめ素晴らしかった。 9回裏、韓国チ―ムの捕手が退場処分となるアクシデントで、1アウト満塁というしびれるピンチもしのいで、あのキューバに勝ったことに価値がある。ぼくにとっては、青春の1年間を過ごし…

北京五輪野球、米国に完敗〜がんばる女、勝てない男

チューブトレーニングで両脚のすねを鍛えながら、あるいは、今週の新聞記事を切り抜きながら、日本対米国のゲームを観ていた。残念な敗戦だった。個人的に感じることはいろいろあるが、日本チームの脆(もろ)さ、打たれ弱さは、ぼく自身にもある。そういう…

広島でのこと(3)〜忘却せざるをえなかったこと

もらい泣きした。想像を絶する惨状に直面したとき、人間はどこかで壊れるのだろう。いや、少し壊れないと、それから生きていけない、そんな弱さを抱えた生き物と言った方がいいかもしれない。 初めて観た広島平和記念資料館は、予想通り、見れば見るほど心身…

広島でのこと(2)〜手を合わせる人、ゴミを拾う人

朝5時半起床で、曇り空の広島平和記念公園内外をジョグ。公園ぞいを流れる元安川は、土の歩道もあって足にやさしい。ジョギングやウォーキングの人たちともすれ違う。イサム・ノグチが設計した、平和公園にかかる橋(右上写真)を初めて見た。どこか宇宙っ…

広島でのこと(1)〜みっちゃんのお好み焼きソース

偶然、友人が広島取材に出かけていたことを知り、美味しいお店を訊いて教えてもらったのが、お好み焼きの「みっちゃん」。じつに庶民的な名前が気に入った。ちょうど広島駅の新幹線口の食堂街にあったので、肉・卵・うどん入り780円を試しに注文。 酸味が…

川端康成『愛する人達』(2)〜負けて勝つ小説

負ける建築、という言葉を使っているのは隈研吾さんだ。 いたずらな建築家の自己主張より、建築物をとりまく諸条件との調和をこそ重視する「受動性」の喩(たと)えとして使われている。 上記の川端作品の中で、ぼくがグッときた『母の初恋』と『ほくろの手…

川端康成『愛する人達』〜静謐なる成熟(1)

ある年齢になって初めて、堪能できる文章というものがある。 ぼくにとって、川端康成とはそういう作家の一人。谷崎のような絢爛豪華さや、三島のような豊穣な意匠も、川端さんの文章にはない。 しかし、一見何気ない、ひらがなの文章の奥に、静謐な成熟とで…

谷本歩実選手の、懐のデッカイ言葉

まず、あざやかな払い腰での一本勝ちにしびれた。押してきた相手の力を利用しての豪快な投げ技は、まさに「柔よく剛を制す」の真髄みたいな瞬間だった。 試合後のインタヴューでの、以下の彼女の言葉にはもっとしびれた。 (決勝戦の相手)デコス選手は柔道…

「ヒミング」プロジェクトの結実〜実人生とアートを重ね、一貫性を手作りする輝き

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アーティストの中村政人さんからメールが届いた。 長年取り組んでいる、アートによる地域活性化プロジェクトのひとつ、富山県氷見市の「ヒミング」の中で、地元の伝統的な船の再生を果たしたというお知らせ(以下をご参照ください)。メールを読んだときに、…

北京五輪への道〜なんとか完結しました

いよいよ、北京五輪が始まりました。そして連載も無事終了。 レスリング女子・吉田沙保里「敗戦こそ最大の良薬」陸上男子・末続慎吾「日本スタイルでの挑戦」 ご興味があれば、御笑覧ください。 レスリング女子の栄監督の「手のひらの察知力」(後編)を読む…

西岡常一『木のいのち 木のこころ』(草思社)〜合理化バカ

法隆寺などの解体修理などに携わった伝説の宮大工。故・西岡常一さんの本を読みながら、何度も唸らされた。その言葉は木だけにとどまらず、人や世の中にまで届き、その上、深く突き刺さっている たとえば、「木を長く生かす」という章では、宮大工の世界に代…

自分の仕事に誇りを育む方法

「喧嘩を売られたような気分だよ」 ブラウン管の向こう側で、宮崎駿が怒っていた。それは、映画『崖の上のポニョ』の主人公である男の子のカットを担当するベテラン・アニメーターに向けられてた。男の子のカットの背景を飛ぶ小さな鳥が、少しも飛んでいるよ…

YUKI『ファイブスター』〜生と死を見すえてこそポップソング

白はそれだけでも、もちろん白。だけど、その隣に黒があることによって、白としてさらに輝く。まるで同じことが、生と死についても言える。 哀しくって 泣いてばっかりいたから 芽が溶けて無くなった 秋になり また 冬になり ひとつ年をとった 遠くまで 逃げ…

赤塚不二夫さん逝去〜書かれない物語

昔、女性誌のドキュメントページを担当していたとき、赤塚さんの奥さんに取材を申し込んだことがあった。ちょうど、赤塚さんの過去の対談をまとめた『バカは死んでもバカなのだ』が刊行されたとき。それを読んで、赤塚夫人の視点から、この天才を描けないか…

シンプルの強度(3)〜出光美術館『ルオー大回顧展』

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あらためて、小林秀雄の『ルオーの版画』という文章を読み返すと、彼はルオーの版画しか部屋に飾っていなかったという。文中で、「ミセレーレ」シリーズの日の出の画が部屋にかかっていることを明かし、その絵について述べている。少し長いが、引用しておく…

シンプルの強度(2)〜ルオー大回顧展(出光美術館)

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白状すると、あまり期待していなかった。あの太い縁取りと、何度も執拗に色を重ねていく画風は、もちろん知ってはいたけどね。 あとは、小林秀雄がジョルジュ・ルオーについて、短文をいくつか書いていたなぁという程度。昨年行った札幌の三岸好太郎美術館で…

シンプルの強度(1)〜アルベール・ラモリス『赤い風船/白い馬』

「北京五輪」企画の原稿が全部終わったので、気分転換に外出。まず、シネスイッチ銀座で、アルベール・ラモリス『赤い風船/白い馬』の2作品を立ち見鑑賞。映画の日だったせい。仏のオルセー美術館が開館20周年記念事業として立ち上げた第一回目の監督に、…