2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

あのミズナラのような歌〜中島みゆきLIVE歌旅(wowwow)

ひさしぶりに「ファイト!」を聴いていたら、ふいに刺さった。 彼女の歌い上げ方のせいだ。最初の「ファイト!戦う君の歌を、戦わないやつらが笑うだろう」は、まるで小学生みたいな歌い方で入る。それが歌いすすむにつれて、少しずつ強く、激したものへと変…

ゆるくてほのぼのバラカン・ナイト(下北沢の書店「B&B」)

下北沢駅南口から出て、開始時間の近くに書店にたどり着くと、すぐ後にピーター・バラカンさんも会場入りされた。まじかで見ると胸板がとても薄くて華奢な人。会場は50人超が詰めかけていた。男性が8割で年齢層は高め。 音楽評論家の湯浅学さんとの対談は、…

わらえて、いたくて、せつない狂気〜中島美代子著『らも 中島らもとの三十五年』(集英社)

「劣等感と崇拝がそうであるように、優越感と軽蔑も愛の重要な隠し味なのだ」 この本の前に読んだ本の一節。そして上記の『らも』は、まさにその一文をリエゾンするかのような夫婦の軌跡が綴られていた。まるでシンクロニシティのような流れに気味が悪くなる…

切っ先の鈍い光〜藤山直樹『落語の国の精神分析』(みすず書房刊)

落語と精神分析って? そう思う人たちは、たとえば「粗忽(そこつ)長屋」をテーマとした章で、こんな文章に向き合うとき、たとえば心臓の裏側らへんに、なんとも嫌な汗をかくはずだ。粗忽とは、おっちょこちょいのこと。 粗忽な人を見るときのひとびとの視…

緑の党 参議院選立候補者発表

高坂勝さんが共同代表の一人として関わる、緑の党の参議院選の立候補者発表に出かけてきた。 歌の合唱から始まり、候補者紹介やクイズ、安倍首相の仮面をつけた「ダースアベイダー」を交えた政策論争めいたものあり、明るくてなごやかなイベントだった。選挙…

至福の目ん玉〜藤山直樹著『落語の国の精神分析』(みすず書房)

ふと目に留まる、気になって手に取る、読み始めると一気に引き込まれてしまうその瞬間にこそ、本読みのたまらない歓びがある。在米中国人小説家、イー・ユンリー以来のそんな一冊。少し長いが、同書の「立川談志という水仙」の一節を引用する。 『高座に上が…

決めつけること 暴くこと〜入江杏著『悲しみを生きる力に』(岩波ジュニア新書)

当事者でないと見えないものがたくさんある。そして当事者ではないから、無意識に、他人を傷つけてしまうこともある。 2000年に起きた世田谷一家殺人事件。二世帯住居で、妹一家を唐突に奪い取られた著者が、失望や自責の念、周囲の偏見などから生きる意…