song

「京都慕情」は錆(さび)つかない

夕食どきにテレビを観ていて、エンディングに流れてきた曲にふいに気持ちをさらわれる。普段と代わり映えしない日常に少し細波(さざなみ)が立つ。言葉数が少ないからこそ行間がふくらみ、旋律がシンプルだからこそ深くひびく。武田カオリの透き通った声が…

慰撫する歌〜R.E.M『Everybody hurts』

ひょんなことから歌と出合う。このブログでも書いた、NHK-BS1の世界のドキュメンタリー「職場で歌おう」の中で、大病院の合唱団が歌っていたのが、R.E.Mの「Everybody hurts」だった。英語がすぐ胸に刺さらないから洋楽は苦手だけど、その切ない表題にぴった…

あのミズナラのような歌〜中島みゆきLIVE歌旅(wowwow)

ひさしぶりに「ファイト!」を聴いていたら、ふいに刺さった。 彼女の歌い上げ方のせいだ。最初の「ファイト!戦う君の歌を、戦わないやつらが笑うだろう」は、まるで小学生みたいな歌い方で入る。それが歌いすすむにつれて、少しずつ強く、激したものへと変…

温かくて大きな手のひら〜グレゴリー・ポーター「BE GOOD」

今朝のNHK-FM「快適音楽セレクション」で知った、グレゴリー・ポーター。「ビー・グッド」な三連休のイントロダクションにおすすめです。

「in other words」の粋(いき)

晴天だったので、来月2日のハーフマラソンを見すえて2時間半走に挑戦。1時間50分は切れるはずだから、6.7キロ弱多めの距離。後半少しスピードアップしたら、案の定、残り30分でガス欠状態に。み、みっ、惨め。 夕食後、ひさしぶりにナット・キング…

「入れ歯」や「はげ」の魔法〜星野源(NHK「佐野元春のザ・ソングライターズ」)

「こんにちは」や「ありがとう」といった月並みな言葉でこそ、人の心を震わせるために、今まで多くの優れた歌や映画や小説が生まれてきた。 だから、「入れ歯」や「はげ」といった普通は歌にならなそうな言葉を、浮くことのない歌にしたいなぁというところか…

変格活用の歌〜斉藤和義『おつかれさまの国』 

夕方1時間半ほど走ってきて、シャワーを浴びてから、おもむろにストレッチを始めた。ipadの電源を入れて「youtube」で「斎藤和義」と入力し、あれこれ聴きながら、疲労で固くなったふくらはぎや腰をマッサージする。 「いててぇ〜」「あっ、吊りそう」「や…

佐野元春『欲望』がシンクロする島国

かなり以前に生まれた歌が、ある時代の、ある時期の世の中の空気にピンポイントで突き刺さる。そんなことがあるんだぁと、テレビで佐野さんの『欲望』を聴きながら思ったら、ふいに涙腺が熱くなった。佐野さんはこんなふうにシャウトしていた。 これからどこ…

木村充揮の『君といつまでも』

「ふたりを ゆ うやみが つつむ こ の まどべに」 言葉を切る。といっても、ただブツ切りにするのではない。 言葉と言葉の挟間には、ある余韻がただよい、たしかに連なっている。それは「溜(た)め」とか、「間合い」ともよばれるものだろう。文章でいえば…

ちあきなおみ大全集(NHK-BS2)

わずか5分強の歌を聴いただけで、もうビフテキ3枚ぐらい平らげたような満腹感だった。 ちあきさんの「朝日のあたる家」の映像を、画像が少し悪いがまず観てほしい。 これだけでもじゅうぶんに凄まじいのだけれど、今夜放送されたバージョンは、ニューオリ…

ちあきなおみ『伝わりますか』

一方、うちの奥さんが気に入ったのは『伝わりますか』。こちらはもっと哀切な歌。サビの最後の部分をあえて抑える旋律が効果的。チャゲ&飛鳥の飛鳥が、ちあきさんのために作った曲らしい。同じ赤でも、サルビアのようにドロッとした少し怖い紅色か。

ちあきなおみ『黄昏のビギン』

夕食後、何気なくテレビのチャンネルを替えていたら、ちあきなおみが歌っていた。ぐいぐい惹きつけられて押し黙り、ぼくは耳をそばだてていた。演歌、ブルース、ファド、シャンソンなど、どんなジャンルを歌ってもちあきなおみの世界。それは歌謡曲のすごか…

モンゴル800『神様』〜素手の拳(こぶし)みたいな歌

ありふれた言葉をつなげて、どこにもない歌をつくる。 彼らの01年のヒット曲『あなたに』に感じたことを、今日テレビで聴いた『神様』にも同じように感じた。 「元神とヨリを戻したいの」 たとえば、『神様』にそんな歌詞がある。「元カノ」のように神様を「…

クレイジーケンバンド「ガールフレンド」

先日、「僕らの音楽」に、横山さんが茂木さんと出ていた。茂木さんの『脳と仮想』(小林秀雄賞受賞作)を読んだ横山さんが、すごくよくわかったとゲスト依頼したらしい。意外な組み合わせだが、その番組で流れた新曲が「ガールフレンド」。 孤独(あるいは死…

忌野清志郎『JUMP』

この曲、かっこいい。 「JUMP! 夜が落ちていくその前に JUMP! もう一度 高くジャンプするよ」 何気ないけど、ちょっと冗談っぽくて、なおかつ高らかな詩情を秘めた歌詞。そこに弾けるような旋律が乗っかる、サビのリフレインがいい。カラオケに行…