2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「君」と「様」から考える

ブーメラン効果という言葉は、因果応報めいたマイナスのニュアンスで語られることが多い。でも、人によってはそうじゃないこともある。 先日、ある経営者の方と夕食をご一緒した。老舗料理屋の坪庭が見渡せる奥の部屋でいただいた松阪牛も美味しかったが、そ…

「陰影礼賛」展(2)ー意味や権威を押し潰した先

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思わず、声を出して笑ってしまった。 時代順に、陰や影をテーマにした絵画を見てきた最後がポップアートで、まず、ロイ・リキテンシュタインの「ルームメイト」(1994年作品)が展示されていた。人物の影が「●(ドット)」の大小で描かれていた。 それま…

国立新美術館『陰影礼讃』展(10月18日まで)

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影や陰を起点に絵画や写真や現代美術を観てみる。 その視点のズラし方に心惹かれた。感想から先に書けば、もう一度行きたい、それぐらい刺激的で重厚な展示内容だった。全国の国立美術館の所蔵品から、多彩な展覧会を構成した「陰影礼讃」展のキューレターの…

「中国はグローバル資本主義に組み込まれているから、そのルールをラディカルに破ることは自殺行為」(「ウォール・ストリート・ジャーナル紙」HPから)

いつもながら、ひとつの点やある事象だけを見て騒ぎだすマスコミがいて、その報道によって多くの人達が好き嫌いという感情をふくらませ、世論調査がそれを増幅し、まるで「正義」のように扱われてしまう。 それじゃあ、理由もなく「狼が来たぞ!」と何度も口…

NHK教育「ミュージック・ポートレイト」〜思い出の歌を通して語る「自画像」

TV

姜尚中が「80年代、街のいたるところから聴こえてくるユーミンの歌が、当時の僕はとても嫌いでした。ところが先日、用事があって中央高速を車で走っていたら、ユーミンの『中央フリーウエイ』をふいに口ずさんでいる自分がいたんですよ」と、松任谷正隆に…

最大の敵は「(お金の)苦労をしていないこと」

ふいに、その言葉がぼくの胸に突き刺さった。まるで予想もつかないタイミングで、だ。自分の子供たちにくり返す警句があるんだよと、矢沢永吉が糸井重里を相手にテレビでしゃべっていた。 「おまえたちの最大の敵は、(お金の)苦労をしていないことだ。だか…

稲刈り体験(2)

たかが藁(わら)、されど藁。 刈り取った稲の束を高さをそろえて藁でしばる。竹で組んだおだに稲束をかけて天日干しするためだ。竹は、地元の農家さんと休耕田を借りている僕たちが、月1回、田んぼ周辺の里山を守るために伐採してきたもの。いわば、ゼロ・…

稲刈り体験(1)

左手親指と右手薬指の腹側の、赤い内出血跡がようやく消えた。 そう思ったら、今度は左手中指の爪が赤黒く染まりだした。それらが生まれて初めての稲刈の記憶。 左手親指は、黄金色に育った稲を刈りとろうと、数束をまとめてつかむときに一番力が入っていた…

被爆ピアノin ニューヨーク

朝日新聞に、被爆ピアノの記事が掲載されました。Kさん、発見してお知らせいただき、ありがとうございます。 また、NHKニュースでも、取り上げていただいたようです。重ねて御礼申し上げます。ちなみに、写真のピアノを弾く後姿は、シンガーソングライタ…

マルタン・プロヴォスト監督「セラフィーヌの庭」(岩波ホール)

なんとも不条理だな――昔、ユトリロの展覧会を観終えてそう想った。 貧しさの中で絵を描きつづける中で、彼はあの「白の時代」ともいうべきシュールな風景画を編み出した。ところが、それがあるとき高く評価されて経済的に豊かになり、多彩な色を使いはじめる…

丹沢大山トレイルツアー(神奈川)

run

ひさびさに両太腿の筋肉痛。 フルマラソンを走った翌日のようだ。夕食前、近くのプールで1時間ほど身体を動かして、多少はマシになった。昨日、神奈川県大山を尾根伝いに、約20キロほど走るトレイルランニングの初級者向けツアーに参加した。 山をてくて…

萩上直子監督『トイレット』

萩上監督の静かでたんたんとした画面が好きだ。 登場人物たちも言葉少なで、気のせいか、それぞれが黙って座っていたり、あるいは歩いていたりする場面が目立つ。 その代わり、母親の形見のミシンがひさしぶりに立てる音や、餃子を炒める音、長い沈黙の後で…

斉藤学さんの洞察〜東京新聞♡♥(ラブ)

「無菌を求める不潔」 今年6月30日付け東京新聞、その25面の記事の中身出しだ。精神科医・斎藤学さんが、大相撲の賭博疑惑について書いている。 大まかな論旨は、歌舞伎同様に「興行」である相撲は、そもそも堅気ではない人たちが、生計を建てるための…