2004-05-01から1ヶ月間の記事一覧

佐野眞一著『東電OL殺人事件』(新潮文庫)〜書き手の獰猛な情熱に引きずり回される快感

荒れ狂う闘牛の角に、偶然結ばれた荒縄を持っていたせいで、闘牛場を散々引きずり回されたような読後感だ。 この場合、闘牛の角は書き手である佐野さんの獰猛な情熱であり、その情熱の対象は殺人事件に巻き込まれた、慶応大学卒のエリート企業の女性社員と、…

太田哲也さん講演会(鳥取県民文化会館)〜必要とされている情報やコミュニケーションが視えにくくなる医療現場

早朝4時起きで羽田から鳥取へ行き、日帰りしてきた。鳥取市立病院の職員ら約160名を対象にした、元レーサー太田哲也さんの講演会取材だった。 太田さんの話は、全身の約40%におよぶ大火傷という重度熱傷での入院と、そのリハビリ体験が中心だった。かつて…

東京麺通団〜背中の「腰一徹」が語る讃岐うどんへの矜持

昨夜、森君のライブを観た後、香川県高松市に赴任中、さぞや美味しい讃岐うどんを食べてきたはずの友人Oを誘って、新宿西口にある「東京麺通団」に行った。本場で美味しいのを食べていた彼が、どんな感想を口にするかが知りたかったからだ。 結論から言うと…

森源太、新宿パワーステーション〜路上で生まれた唄声

耳たぶや鼻、喉ぼとけ、足なら踝(くるぶし)の上あたりの一番皮膚の薄い部分とか。人の身体には、どうにも無防備で、弱っちい部分がいくつかある。いずれも筋トレや体操では鍛えようがない、という意味でだ。 森源太の唄は、そういう部分から這い入ってきて…

松岡正剛千夜千冊:杉浦康平『かたち誕生』

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あの松岡さんが、まるで少女みたいにワクワクしながら、「ぼく、大ファンです」オーラーを、その行間から振りまきながら、杉浦さんについて書いている。これも左アンテナにあります。こういう文章に出会うと、ネットのありがたみを体感するな。 杉浦さんとの…

人生初、自動車雑誌で3回連載開始

ちなみに、ぼくは自動車免許をもってません。40歳で免許持ってない男って、かなり希少価値があると思う。いったい、どのくらいの希少さなのか、「はてな?」で質問してみたいぐらいだ。 しかし、それでも自動車雑誌で連載できる。すごい!すばらしい!『マガ…

祝!1万アクセス突破

今月5日に5000アクセス突破祝いをしたと思ったら、ちょうど3週間後の本日、1万アクセス突破いたしました。ありがとうございます。とはいえ、コメント欄はけっこう無口だったりするんですが(^^;)、まっ、マイペースで、もっといろんなパターンの文章…

電子書籍サイト「10daysbook」の未来像

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日本発の世界標準になりますよ、と電子書籍サイト「10daysbook」を運営する、イーブックイニシアチブの鈴木雄介社長は言った。 この上の写真どうよ?今日、取材した鈴木さんのノートパソコンにストックされた電子ライブラリーだ。ちょっと良くない?いつでも…

本橋成一写真集『生命の旋律』(毎日新聞社刊)〜生きる知恵が、消えてしまわないうちに

ページをめくる度に、好きだなぁという気持ちが、心のどこかから、じわじわと地下水みたいに染み出してくる。モノクロの本橋さんの写真もいいが、久しぶりに見るカラー写真の優しい質感と、そこに写っている市井の人たちの確固たる生き様、そのバランス感覚…

地村さん、蓮池さんの家族帰国

夜九時すぎから、しばらくテレビばかり観ていた。そうして同じ映像とコメントばかりを反復するテレビを観ながら、ぼくはあることを思い出していた。 ちょうど21歳から22歳の一年間、ぼくは韓国ソウル市にある延世大学の韓国語学堂で韓国語を学んだ。1985年か…

「眞平」(六本木)〜各種豚肉と焼酎の相性

予想通り、翌日になってしまった(^@^)。21日、つまり金曜の夜、友人Sと田崎真也さんプロデュースの焼酎バー「眞平」(六本木7-8-16)へ出かけた。カウンターのみ14席の小さな店なので、10日前に電話で予約しておいた。 まず久しぶりの再会を祝して、佐…

佐藤卓展「PLASTICITY」〜見ているようで見ていないものを意識化させる

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たとえば、ぼくが仕事グッズのひとつとして常備しているロッテのクールミントガム。あのパッケージ・デザインには4面中、5頭のペンギンが一列に並んでいる1面がある。そこまでは、ぼんやりイメージできる人はいるかもしれない。 しかし、その5頭中左3頭…

非日常を作りだすコツ

ヨーロッパから戻られた筑紫みずえさんと昼食をご一緒するために、彼女のオフィスのある京橋へ出かけた。彼女に関する以前の記事はこちら。(id:rosa41:20040503) オランダのエコファンド関連会社の株主総会で目にした赤ちゃん株主(オランダでは子どもが生ま…

「地熱風」(東中野)で黒ぢょか初体験

昨日は酔っ払って熟睡、スチャラカはお休みしました。以前、紹介したワンクリック募金「d.f.f」社長の清水さん(id:rosa41:20040416)と、本格焼酎と地酒好きには有名なJR総武線東中野駅前の「地熱風」へ行ったせいだ。 清水さんの婚約者と友達の合計4人で…

ネタがない

ネタがない。それに今日は蒸し暑い。もちろん、この二つの話題には何も関連もない。しかしネタもないし、蒸し暑いので、近所の美容室にばさっと髪を切りに出かけた。 日焼けした四角い顔で、奥田民生みたいに白いタオルを短髪の頭に巻き、いい味出してるマス…

ふたたび『いまなぜ青山二郎なのか』について

まず2日前の話を読んでほしい。(id:rosa41:20040514) この本にはサイド・ストーリーがある。それは冒頭で白洲さんも書いているのだけれど、編集者、小島千加子の存在だ。 毎年、夏の終わりごろ、軽井沢にある白洲の別荘を、5、6年、年に一度いつも同じ時…

「ヌースフィア」祝1周年パーティー

本日午後3時より、田町駅徒歩3分のオーガニックカフェ&ダイニング「ヌースフィア」で、開店1周年パーティに参加。お料理も接客もぐんぐんレベルアップしているし、その間、お店を支えていただいた社長、スタッフの皆さんには感謝、感謝。 各オーナーや常…

白洲正子著『いまなぜ青山二郎なのか』(新潮文庫)〜「死に様」という作品

今日の午前中、NHKのハイビジョン放送で、あるフランス人夫婦の船旅を追うドキュメンタリー番組を観た。夫の定年を機に、寝室と客室付きの船を買い、パリからオランダのアムステルダムまで、約一月かけて、時速8キロで川下りの旅を楽しむという。最初の…

グレン・グールド演奏の「バガテル」〜それが一瞬でぼくにストックされた夜

CD

もう、ずいぶん昔に買ったのに、思い出したように聴いてみると、すごく心に沁みる曲や歌ってある。 強風から夜には雨になった今日、食後に仕事部屋で、先日買った白洲さんの文庫本を開きながら、BGM代わりに聴きだしたグレン・グールドの「バガテル(6 BAGATE…

ニューヨークでの忘れられない光景

昨日から”コメント対話”をくり返していて、思い出したことがある。’91年、湾岸戦争終結後、ぼくは約3ヶ月間ニューヨークで暮らした。 そのとき、知り合いの日本人に誘われて、ニューヨークから電車で北へ1時間ほどの別荘地で、あるパーティに参加した。も…

魔女狩り社会で、最後に笑ったのは誰か

この加熱ぶりが気味悪い。テレビ、新聞がこぞって魔女狩りに参加していて、それを制する者がいない。みんなで寄ってたかって、嬉々として個人を袋叩きにして溜飲を下げている光景が、たまらなく気味悪い。 イラクで人質にされた日本人を「自己責任論」で袋叩…

山下洋輔×菊池成孔「2014年のソリチュード(孤独)」(東大駒場小空間)〜JAZZの懐深さ

10m先で山下洋輔がピアノと格闘していた。時にソフトな指使いで、時に左肘をエルボーバット気味に鍵盤に叩きつけ、時にピアノと性交するかのように上体をうねらせながら。約300人ほどの濃密な空間で、JAZZを堪能した。これで3000円ならゴージャスすぎる。 最…

FIWC関東委員会主催シンポジウム「ハンセン病がアジアをつなぐ」〜一粒の種が伸ばした韓国と中国への地下茎

今日の午後2時から、東京都武蔵野市で、上記のシンポジウムが開かれた。そこでは、人間嫌いだった一人の男子学生が今春、中国のハンセン病快復者の村へワークキャンプに出かけ、一人の愛くるしい笑顔のハンセン病快復者と出会うことで、「なんか、とても元…

動かないようで動いている

丸い陶製の花器に活けていた、一輪の蔓(つる)バラがしぼみ始めた。そこで水切り(水中で茎を少し切り、花が水を吸い上げやすくすること)をして、今度は青いグラスに差しかえてみた。昨夜のことだ。 今朝起きてみると、その青いグラスの内側に無数の気泡が…

後藤繁雄トークショー〜骨の髄まで編集者

自らがいかに旨いもの好きかをひとしきり話した後に、彼はこう言った。 「たとえば、京料理を美味しいという一派と、不味いという一派があるんですね。だから、今度、京都に行く機会があったら、それぞれの視点から京料理を食べてみるのも面白いですよ」 そ…

「ヌースフィア」(JR田町駅前)〜フレンチ風の美味しい料理&デザートのオーガニック・レストラン

連休明けの今夜、一ヶ月半ぶりにJR山手線田町駅三田口から徒歩約3分、我がオーガニック・カフェ&ダイニング「ヌースフィア」へ。 上写真の4階建てビルの2、3階フロアがお店。今夜2階は慶応大生20人のパーティで満員。3階も右奥の星空が垣間見える個室…

5000アクセス突破御礼

昨夜、いきなりアクセス数が増えて5000アクセスを突破してしまいました。「google」にサイト登録したせいかなぁ? たかだか5000程度で何喜んでんの?と冷ややかな方もいらっしゃるかもしれませんが、自他ともに認めるパソコン音痴のわたしにとっては、やっぱ…

『虚業成れりー「呼び屋」神彰の生涯』大島幹雄著〜無残にあらがう方法

一昨日、パリから手紙が届いた。投資顧問会社グッドバンカー社長、筑紫みずえさんからだ。いや、日本初のエコファンドの生みの親と書いた方が、「ああ」と思われる方が多いかもしれない。 エコファンドとは、環境問題へ積極的に取り組む企業銘柄を中心にした…

「ここが自分の宝物」という考え方

今日は日帰り取材で静岡へ。静岡駅前で、熊谷守一展の看板を見かける。東京開催時に見逃していたので、取材後にでも見て帰ろうと思っていたら、午後1時半頃始めた取材が終わったのは午後6時すぎ。もう美術鑑賞の余力も失せて新幹線ですぐ帰ってきた。 「サ…

横浜美術館「イメージをめぐる冒険」展〜シンプルで強い視線

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横浜まで行ったついでに横浜美術館へ。みなとみらい周辺は大勢の人でごった返していた。しまった、GWに美術館行くのは失敗だったかなと思いながら入館すると、ガラガラだった(^^;)。 5つのキーワードで、国内外の作品を集めるという美術館の力量が問…