斉藤学さんの洞察〜東京新聞♡♥(ラブ)

「無菌を求める不潔」 
 今年6月30日付け東京新聞、その25面の記事の中身出しだ。精神科医斎藤学さんが、大相撲の賭博疑惑について書いている。
 大まかな論旨は、歌舞伎同様に「興行」である相撲は、そもそも堅気ではない人たちが、生計を建てるための道であり、裏も表もある日本人の伝統文化だと指摘。


 そのうえで、このことを知っている人は知っているのにその疑惑が取り沙汰されても口を開かない、その理由は、世を覆う「無菌志向」と「不潔恐怖症」が、そんな当たり前の本質を語らせないのだと書いている。


 その指摘は、さらに参院選前の世の中の空気にも及ぶ。

 折から政治は選挙の季節。ここでも人々は清潔を求めている。「沈香も焚かずに屁もひらず」の台詞は忘れられ、なるべく無能な無菌者(というイメージ)が選ばれる。そうすることで有権者は、自らの「ねたみの心」を宥(なだ)めている。それこそ不潔な心だ。

 その洞察の筆先は、大衆の背後にひそみ、何かにつけ世論調査を発表して、大衆にすり寄ってみせるマスコミの不潔さにも届いている。 
 一方、大衆もマスコミも、自分たちが「不潔」だなんて一度も考えたことはない。何の根拠もないけれど、「自分(たち)こそが良識」とぼんやりと信じている。くしくも今朝の同紙も、斉藤さんのコラムの順番でこう結ばれている。

「見せかけのチキン・レースの末に菅氏の首相継続という筋書きになっているのだろう。「大衆の望みはこの程度」と見切られている。