田口ランディさんの当事者意識

 少し前の東京新聞に出ていた「いじめ問題」へのランディさんの寄稿文はいきなり導入部分がいい。

 ごめんなさい。
 まず、私は子どものみなさんに大人として謝らなければなりません。大人の社会にはいじめがいっぱいです。お年寄りから年金をだましとり、平気で違法建築のマンションを建てています。ルールを破ったらまず制裁を加えます。暴力で相手をねじふせます。そして、日本の法律では悪いことをした人は死刑になることもあります。産業廃棄物は美しい山のなかに黙って捨てられています。力の強い人、声の大きい人が強引にふるまい、平気でうそをつき、まじめに生きている人をねじふせています。そんな社会にしておいて、子どもたちにだけ「いじめはいけない」なんて、どうして言えるでしょうか。(後略)

 こういう当事者意識を偽善だと批判する心が歪んだ大人も、たしかにたくさんいるだろう。
 しかし、正確な実態把握さえおざなりに、いじめを見過ごした教師や、いじめた生徒にだけ厳罰を科すような表層的で浅薄な「緊急提言」しか出せない大人たちより100倍マシだ。