アベコベアベコベ 

rosa412005-10-16

 昨日、東中野ポレポレタイムス社で共働学舎の収穫祭があり、そのトークショーに参加した。「へぇー」や「ふーん」が何度かあって、楽しい時間だった。共働学舎は、農業や酪農などを軸にした共同体。長野、北海道、東京など国内にいくつかの拠点をもつ。くわしくは同webサイトを。
たとえば、北海道の共働学舎で養豚業を営む福沢さんはこう話す。
「豚の一番美味しいのは脂身なんです。でも健康志向の強い日本の市場では、脂身の多い豚肉は評価が低い。でもね、腹いっぱい食べて、すぐ寝る、人間でいえば怠け者で肥満体の豚こそが、脂身が多くて一番美味い。痩せた健康的な豚はダメなんですよ」
 右写真は、その福沢さんが作っている、無骨な味のソーセージだ。健康志向のワタシやあなたは、その志向ゆえに本当に美味しい豚を食べ損ねている。
 きょう、テレビで観た、女優の藤山直美春風亭小朝の対談が面白かった。最近のホールや劇場はコンクリの打ちっ放しで、やたらと天井が高いのが流行だという。小朝さん流にいうと、「冷たい建築」が多い。
 しかし、落語や喜劇を演じる演者側から見ると、「冷たい劇場」は難敵だ。会場が暖まりにくく、笑いもおきにくいから、舞台と客席との一体感がなかなか得られない。藤山さんにとって、約900人収容の大阪中座の舞台が、天井もそれほど高くなく、規模も作りも最も演じやすいという。モダンでオシャレな劇場ができればできるほど、観客は舞台の緞帳(どんちょう)が上がる前から、すでに笑いや涙から遠ざけられている。
「やはり昔は、あくが強くてわがまま放題の落語家ほど、落語そのものは圧倒的に面白かったといわれますね。それが品行方正な落語家が増え出して、次第に落語はツマラナイものになっていったといわれています」
 と小朝さんがいえば、藤山さんもこう応じた。
「うちのお父さんも、『普通の人を舞台で見て面白いか。動物園の檻の中に、普通の人が入ってたら、誰も動物園なんか行かへんやろ』とよう話していましたわ」
 あるときから、芸人に市役所の職員と同等の倫理や常識を求めて、世間は多くの芸人を「抹殺」してきた。そして今では瞬間芸か陳腐なコントしかできない芸人が、ブラウン管でもてはやされている。