7日夜・NHKハイビジョン「五木寛之・21世紀・仏教への旅」〜2500年前の成熟した死

ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経 (岩波文庫)
「わが齢は熟した
 わが余命はいくばくもない
 (後略)         」
 80歳で自らの死を念頭に最後の旅に出た仏陀。その途上、残り3ヶ月の余命を悟った彼が、弟子たちに残した言葉の最初の一行「わが齢(よわい)は熟した」がいい。自らの死を「熟す」という表現する点がとても豊穣かつ優雅だ。2500年前に記録された言葉でもある。
 「認知症」「アルツハイマー」「孤独死」「老々介護」といった、じつに貧相な「老い」や「死」の言葉しか持たない世界一の高齢化大国とは好対照だ。その一点だけを見ても、メディアが北朝鮮並みの画一さで喧伝する、数字の上の好景気記録を更新しつづける社会の「豊かさ」をひん剥いている。持ち歩き電話機で缶コーヒーが買えたり、電車の改札口を通れることが最新式の便利だと騒ぐ「裸の王様ぶり」ともよくお似合いだ。
ブッダ最後の旅』を片手にその旅路と、世界各国の仏教の今をたどった五木寛之氏74歳の「21世紀・仏教への旅」は、7日夜から5日間連続放送の予定です。