[Run」三日月とオレンジ色の東京タワー

rosa412008-11-01

 内幸町から霞ヶ関のビル群が黒いシルエットになり、その上に細く黄色い三日月が浮かんだ。その右斜め上には、星ひとつが光っている。そこから少し離れた左側では、東京タワーがオレンジに発光している。
 一方、皇居周辺は闇にすっぽり沈み、ぼくはその闇の中で整理体操をしながら、その夜景をうっとりと眺めた。夕方5時半すぎ。快晴に我慢できず出てきてしまったが、練習のご褒美みたいでうれしい。横浜のみなとみらい地区を彷彿とさせる。


 16日をひかえて、最後の皇居練習。とくに前半を抑えて18分前半ペースで20キロ完走。1時間53分台で満足した。意識的にゆっくり走った割には、最後の5キロは意外と疲れてたけどね。過去2回とも、30キロすぎで失速した反省をふまえて、18分から19分ペースを保って完走。できれば4時間を切りたい。


 別に信仰はない。それでも最近は整理体操を終えると、自然と手を合わせて、神様に「ありがとうございました」と伝えている。毎回、今日が最後の走りになるかもしれないと思ってるせいだ。その原因は事故や怪我、あるいは病気かもしれない。
 多くの人は、今日の日常が明日も続くと漠然と思ってるかもしれないが、いのちはそんなに人間の都合のいいようにできちゃいない。


 そのくせ気がつくと、もう走ることが手離せなくなっている自分もいる。
 理由はかんたん。文章や言葉には時おり小さな嘘がまぎれこんでしまうけれど、走ることは嘘をうけつけない。同時に、まるで精巧な鏡みたいに素っ裸の自分を映し出す。どこにも逃げられない。たとえ下手の横好きでも、そのクソリアリズムの洗礼を受けると、やみつきになる。
 自分のいのちを確かに今わしづかみにしてる、あの感じもたまらない。