未来への伝言〜青山ウィメンズプラザ
谷川賢作さんが弾く被爆ピアノの旋律はじつに高らかで、ほがらかだった。
人間国宝の杵屋巳太郎さんの三味線、おおたか静流さんの歌、あるいは、クラーク国際高校の高校生たちとのそれぞれの共演。そして最後の大合奏へ。中身の濃い2時間強のライブだった。
「とても元気をもらいました。このピアノを守ってくださっている調律師さんに、御礼を言いたいです。私なりに今までがんばって生きてきましたが、これからもがんばって生きていこうと思います」
休憩時間に、無数の傷がある被爆ピアノに触れ、その黄ばんでしまった鍵盤を鳴らした女性はそう語っていた。彼女も長崎で被爆したのだという。物言わぬピアノに、どこか同志めいた感情がうまれたのだろう。
人にしか伝えられないことがある。
ある時代をくぐり抜けてきたモノだからこそ、伝えられるものもある。
そして、その両方を伝えるための本もあるはずだ。