「視点」「質問する」=「自らを語ること」

rosa412004-04-17

 他人にあれこれ質問することを仕事にしていると、時折、その質問ゆえに墓穴を掘ってしまう。気が変になりそうなほど恥ずかしい。情けない。
 17日土曜日、彼の自宅にお邪魔して話していて、こんなやりとりになった。
「大半の経営者は、大雑把で細かい。でも本当にできる経営者は、大胆で繊細だ」
「その大雑把と大胆はどう違うんですか?」
「『大胆』とは、結果を予測して動けることで、『大雑把』は結果を考えずに動くこと」
「なるほど、洞察力の有無ですね」
「そこで洞察力とアンタが決め付けてしまうとつまらなくなるよ。それは読者が判断することだから。そういうふうに受けとめると、とても賢そうに聞こえたりもするしね」
「・・・(ドキッとして動揺する私)」
「たとえば、高性能の食器洗浄器があるとしよう。優秀な自動車の営業マンに任せても、『これは噴射圧力がすごく高いから、汚れの落ちが違いますよ』ぐらいすぐ言うはずだ。そこそこ優秀なヤツなら、それぐらいぺロッと言うよ。でもウチの営業マンなら、ウチの社員じゃなきゃいえないことをいわなきゃいけない」
「はい・・・(引き続き言葉少なな私)」
「たとえば、『この洗浄器の噴射力はビルの7階まで届いて、揚程力22mあります』と言うと初めて、お客さんは『すごい勢いがあるなぁ』とため息をついてくれる。そうして一般化するのはお客さんの仕事で、営業マンは具体的事実だけを伝えればいいのさ」
「はい・・・(私はさらにうつむいて)」
「だから荒川さんは優秀だけど、まだまだ二流なんだよなぁ」
 頭から一刀両断にされた気分だった。他人に何かを問うことの恐さを、久々に体感させられた。対話の相手は、中古厨房機器のリサイクル事業を核に、フードビジネスの総合プロデューサーを目指す(株)テンポスバスターズ社長、森下篤史氏。
 こういう人と向き合うと、「質問するとは自らを語ることだ」という小林秀雄の言葉が、頭の中でリフレインする。なんともいえない苦味が口の中に広がっていく。
『日経ベンチャー』巻頭のカラー7Pの人物ルポで森下氏を取材中です。

テンポスバスターズ
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