ヴィム・ベンダース監督『ブエナビスタ・ソシアルクラブ』:おれもあんなパワフルなジジイになりてぇ〜!
衛星放送のBS-iで、ヴィム・ベンダース監督のドキュメンタリー映画『ブエナビスタ・ソシアルクラブ』(ASIN:B00005HKJ7)を久しぶりに観る。ライ・クーダーが、キューバの老ミュージシャンたちを集めて同名アルバムを製作するプロセスと、米国ニューヨークでの初公演の模様を撮影したものだ。
4、5年前か、渋谷シネマライズで初めて観て、そこに登場するイブライム・フェレールと、オマーラ・ポルトゥンドの東京国際フォーラムの初ライブにも、夫婦で出かけた。あのときの興奮を、ふたたび思い出した。もう二人で汗かきながら踊りまくったんだ。
いい映画は何度観ても、やっぱりいい。
「人生に必要なのは、女と花とロマンスさ」とキザに語る90歳のコンパイ・セグンドも、わざとなのか下手なのかが分からない、少し調子はずれの旋律を飄々と弾くルーベン・ゴンザレスのピアノも、やっぱり観ててウキウキしてくる。
とどめは、米国ニューヨークのカーネギーホールでの初ライブの終わりに、イブライム・フェレールが見せる「こんな楽しい夜がもう終わっちゃうのかい?」とでも言わんばかりの、哀愁たっぷりの表情だった。あの顔見てるだけで、グッとくる。ああいう顔で、おれも死んでいきたいなぁ。大好きなことを抱きしめながら。
国際フォーラムのライブでも、70ン歳のイブライムは片足ケンケンしまくってたもんな。確か、初めてこの映画を観た日、おれは日記にこう書いた。
「貧しいといわれている国のエネルギーにあふれた音楽が、金持ちだと思われている日本の、テンションの低い人たちにパワーや勇気を与えてしまう現実に直面するとき、地球という星は案外フェアな場所だということを再発見した。神様ってけっこうイイ仕事してるやん!」
その文章は今もなお、何ら書き直す必要がない。