鬼塚忠著『ザ・エージェント』〜内的必然性をかかえて走る人

「inner necessity(内的必然性)」―今夜BSハイビジョンで、昨年改装オープンしたニューヨーク近代美術館MoMAの特集番組をやっていた。「インナー・ネセシティ」は、画家カンディンスキーが、MoMAで開催された「カンディンスキー展」への謝辞をのべる、同館長への手紙で使われれていた言葉だ。
「私は現代画法の変遷とは無関係に、私の内的必然性によってのみ絵を描いています」
 たしか、そんなニュアンスだった。
 内的必然性―その言葉は、日本人初の「作家のエージェント」鬼塚さんの歩みにもふさわしい。鬼塚さんから送ってもらった初著書『ザ・エージェント』を読むと、それがよくわかる。とりわけ、本の後半が面白い。3年間で12冊のベストセラーを生み出した裏話だ。ちなみに、以前ここでも紹介したフジテレビで放送されたドラマ『海峡を渡るバイオリン』の原作本を、世に送り出した人だ。その裏話も紹介されている。 
友人との雑談の中で耳に引っかかり、ふいに紙にメモったキャッチ・コピー。初対面の人から感じたエネルギーや、その人の生き様への感動と尊敬。それら鬼塚さんがひらめいた直感から、いかに多くの人に読まれる好著が生まれてきたのか。
 それはまさに「内的必然性」の連続だから。旺盛な好奇心と、けっして色あせない感動できる才能。それらを縦横無尽に駆使しながら疾走する男の生き様でもある。
 情熱とエネルギーを出し惜しみしてはいけない。何事も損得勘定でしか動かない人には、そんな人生の黄金律が見えない。情熱とエネルギーをたえず周囲に発散することで、再び自分により大きな情熱とエネルギーとなって戻ってくる。だから内的必然性をかかえて走る人は、いつでも楽しげで、パワフルだ。多少、周囲が閉口するぐらいにね(^^)。
 その鬼塚さん出演のテレビ東京「ガイアの夜明け」は3月15日に放送延期になりました。

ザ・エージェント

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