「散る桜 残る桜も 散る桜」

rosa412005-03-03

 こういう日ってあるんだよなぁ。きのうの午前中、奥さんの親戚から訃報の電話がきた。41歳の従姉妹が突然亡くなった。幼い子どもとご主人が残されたという。
 昼下がりには、以前、ここでも書いた飯島夏樹さんが亡くなったニュースを、ネットで知った。38歳での最期だった。急に気が重くなった。
 まだ鼻水たらたら状態で、夕方から、以前書いたMさんを偲(しの)ぶ会が予定されていたからだ。まるでポーカーのストレート・フラッシュ状態じゃないか。マスクをして、マフラーを巻き、千葉県市川市まで出かけた。
 左手でVサインを作るMさんの笑顔のカラー写真が飾られていた。61歳の早すぎる他界だ。そこへ1人ずつ切り花を献花して、手を合わせた。大人たちがそれぞれのMさんとの思い出をスピーチした。どれも丁寧で、心のこもったものだった。
「散る桜 残る桜も 散る桜」
 良寛の、実に端整な辞世の句を引用する人もいた。大人も、元引きこもりやニートの若者たちも、同じように涙をこぼし、鼻をすすっていた。
 ある女性が歌を捧げた。伝説のロック歌手、故ジャニス・ジョップリンの半生を描いた映画『ローズ』。その最後の場面で流れる『ローズのテーマ』だった。帰国子女である彼女のきれいな英語での、アカペラによる独唱だった。後半になればなるほど、彼女の声量は増し、Mさんの笑顔と70、80人の参加者をともに包みこんだ。手作りだけど、いい偲ぶ会だった。3人の方たちの冥福をそれぞれに祈りたい。
 体調がすぐれず、早々に帰宅。さっそく夕食をとる。寒かったので、湯豆腐から豚しゃぶ。ポン酢とゴマダレで、奥さんと二人でうまいうまいといいながら、むしゃむしゃ食べる。
 ぼくも奥さんも、今日一日のいくつかの死に動揺していたのに、それも忘れて、むしゃむしゃ食べた。うまいうまいと、むしゃむしゃ食べた。二人とも繊細なようで、なんて無神経な動物だ。
 誰もがいつかは死ぬとわかっている。それは常識なのに、なぜ身近な人の死にこう動揺してしまうのだろう。ぼくも奥さんも、実にアホたれだ。
 今朝起きると、この冬じゅう咲かなかった寒椿の一輪が、その深い紅色の花びらをほころばせていた。ひな祭りの今日は、夜から雪になるという。