加藤昌治著『考具』〜マンダラートをやると、考えてない自分が見えてくる

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

 広告代理店勤務の加藤さんが、アイデアを企画にまで高める方法を紹介した本だ。ぼくにとっても、面白そうなものや、試してみたい発想術がいくつも紹介されている。アイデア商売の人には喜ばれそう。といっても03年発売で、昨年9月で17刷りのベストセラーなんで、かなり遅れてる情報です。
 ぼくがハマッたのは「マンダラアート」。正方形に縦2本、横2本の線をいれて9つのマス目を作る。その真ん中にテーマを書き、そのテーマから思いつくものを、残り8つのマスに書き込んでいく。
 9つ全部が埋まったら、同じテーマで、新たなマンダラを作り、もう一度同じ作業を繰り返してもいいし、最初のマンダラのテーマ以外の8マスの言葉からひとつを選び、それをテーマに新たなマンダラを作ってもいい。アイデアの切り口を考える上で、ネタにつまると強制的にマスを埋めようとするから、意外なアイデアがひねり出てくる可能性があるという。
 でも実際にやってみると、けっこう苦しい。しかも自分の物事への考え方の浅さばかりが、気になってしまう。たとえば「仕事の意味」をテーマに、最初の8マスを埋めてみた。「儲ける」「問題解決」「やりがい」「社会参加」「人を喜ばせる」「便利」「価値観を変える」「社会貢献」と埋めた。だが、どれもありきたりで、つまらない。教科書的で空々しい。
 今度は自分の仕事に特化して8マスを埋めてみる。「『今』を伝える」「誤解を解く」「自分を成長させる」「好きな仕事で能力を発揮する」「人間の魅力や本質を伝える」「弱者の声を伝える」「存在証明」「家族を養う」。
 今度は自分を少し離れて、社会的な意味合いで、ふたたび「仕事の意味」をテーマにする。「創り出す喜び」「創意工夫」「人間力をみがく」「技術習得」「他人と協力しあう」「人に勇気を与える」「人をハッピーにする」「税金をおさめる」
 最初よりはかなり具体的な場面や意味あいが見えてきた。ふたたび、自分の仕事という視点から、社会につながる目線で8マスを埋めてみる。
「社会に足りなくて、本来もっと必要な情報を伝える」、いきなり長いのが出てきて、マス目をはみ出した。「他人や自分の知的好奇心をみたす」「技術と自分を洗練させる」「人的ネットワークを広げる」。・・・うーん、だんだん苦しくなってきた・・・「社会を変える」。えっ、苦し紛れに、そんな偉そうな・・・。やっぱり、「自分と他人の物事の見方を広げる」に訂正。「課題克服」、いかん、また空々しいからボツ。うーん、「死ぬまで社会や人生を面白がる方法」、おっ、これはイイ!「人から学べる」「自分と向き合うことができる」。とりあえず今夜はこの辺で終了。
 興味がある方は好きなテーマでお試しください。自分で自分にゾッとしながら遊べます。