『気候変動+2℃』出版記念トークショー〜 大きな言葉>小さな言葉>途切れる言葉

rosa412006-05-20

 「地球温暖化」−なんかマズイ、深刻だぞ、と思わせる「大きな」言葉だ。
 けれど、じゃあ、オレはどうしたらいいのか。そうなると、途端にわからなくなる。言葉の大きさや深刻さの割に、それがどこへどうつながるのかが見えない。「自分」という「小さな」言葉とのつながりも途切れている。宙ぶらりんだ。
「温暖化というと、日本がハワイみたいに年中暖かくなればいいじゃない、みたいに考える人も実際にいます。だから、温暖化による気候変動が激しくなり、人間がもうコントロ―ルできなくなるほど激しくなるんですよ、と話すようにしています。たとえば、鍋で水を沸かすとお湯になる過程で水の対流がおきますよね。ああいうイメージで、制御できないほど寒いときに寒くなったり、暑いときにより暑くなったりするんです」
 『気候変動+2℃』(06年4月、ダイヤモンド社刊)を13番目のプロダクトとして生み出した「Think the earth」の上田壮一さんは話す。
 たとえば、02年の「ラーセンB」とよばれる南極圏の棚氷の崩壊(日本列島の1・5倍相当の広さ)、03年の高齢者を中心に3万人の死者を出した欧州熱波。05年の米国ニューオリンズを水没させた台風カトリーナは、記憶に新しい。青山ブックセンター本店での同本出版記念トークショーを聞いていて、少し恐くなった。
 この本はうまく作られている。左ページは、気候変動の歴史、それが地球にもたらした変化、それらを踏まえて未来に向けて世界各地で始められた取り組みを紹介。一方、右ページは、最新ス―パ―コンピュータで描かれた、1950年から2100年までの世界の平均気温の分布図が、パラパラめくると動画のごとく見られる。
 1980年頃から、まず北極周辺が赤みを帯びだし、2030年には五大陸と南極までが夕焼けに染まっているようになる。さらに2100年になると、北極は赤から黄色をへて白くなり、地球全体が焼けただれたようだ。ページをパラパラとめくっている自分の顔が、自然と歪んでしまっていることに気づく。
 エコ・プロダクトやロハス関連のプロダクトを買うのもいい。けれど何かを買うだけでは、この動きは止められないのではないか。もっと働き方や暮らし方そのものへの提言や施策、あるいは目指すべきモデルが必要で、それはどこにあるのか。
 そんな私の質問に、上田さんは「GNH(国民総幸福。GNP:国民総生産への対義語として)」を提議したブータン共和国を挙げた。彼自身も実際に出かけたらしい。気候変動 +2℃ 
 もっとも同国の政府関係者には「GNHにむけた、具体的な対策はない」と正直に断言されたらしいが(^^;)。ただ、08年にはGNH実現のための9つの指標を、ブータンは発表予定で、それをオープンソース化する予定だという。GNPという指標しかないから、つい「内需拡大」というアホのひとつ覚えの大合唱になってしまう。たしかに価値の多様化には、複数のモデルの選択肢があることは欠かせない。
 終了後、上田さんとは名刺交換をさせていただき、田町「ヌースフィア」でのトークショー企画への協力をお願いしたら、その場でOKの即答をえた。さて、どうするか。
まずは、友人の清水さんがやっている会社「d.f.f」のワンクリック募金のバナーを張ってみた。