きぬかけの道散策(2)〜仁和寺(にわじ)・宸殿(しんでん)の庭は少々大味?

rosa412006-09-19

「ここ見いひんかったら、500円分損してたわ」
 すれ違ったオバサンの一言に苦笑させられた。さすが関西のオバサン、世界遺産の価値を500円を損益分岐点とする点が、じつに地に足がついている。竜安寺の石庭を「世界遺産だから」と盲目的にありがたがる権威主義より、はるかに現実的だ。
 彼女がそうつぶやいたのは、仁和寺・宸殿でのこと。宸殿とは天皇が暮らした建物。重要無形文化財五重塔や国宝の金堂とあれこれあるが、かつて天皇が暮らした宸殿の書院造りや金色を使った襖絵、床の間や南北の庭などがないと、どうも面白みに欠ける。だから冒頭のオバサンの一言はめっちゃ正しい。名勝とよばれる低木ばかりの御室桜も、満開ならさぞやきれいだろうけれどね。
 ただ、うちの奥さんも指摘していたが、襖絵はどれも20世紀になって取り換えられたもの。堂本印象の絵なども面白いけれど、やはり歳月の重みに欠ける。寺自体は888年建立だから。
 南北の庭も天皇がいたせいか、ゴージャスで見晴らしはいい。右上写真の北庭は、池があるから池泉式庭園と呼ばれる。五重塔が垣間見えたり、滝なんかもあってサ―ビスてんこ盛りだけど、どうもぼくには大味過ぎる。グラマーだけど色っぽくない女性みたいな・・・。まっ、きぬかけの道散策後の足休めには、のんびりできていいんだけどね。