鬼塚忠著『Little DJ 小さな恋の物語』(ポプラ社)〜夢はかなうという事実に触れてほしい

Little DJ―小さな恋の物語
 以前、取材した出版エージェントの鬼塚忠さんからメールが届いた。2年がかりで彼が書き上げ、今月出版された小説を原作にした映画が、年末から全国公開予定だという。入院中の男の子が患者さんたちを取材しながら、その内容を院内放送でディスクジョッキーとして伝えるという物語らしい。
 世の中に埋もれた書き手を探し出して、出版プロデュースをするのが彼の本業。その彼自身が、2年がかりで小説を書き上げて世に問い、なおかつ同時進行で映画化まで実現してしまうのだから、素晴らしい。映画「Little DJ」はすでに完成しているらしい。
 こう書くと彼をスーパーマンみたいに思う人もいるかもしれない。
だが残念ながら、彼はけっして雄弁でも、男前でも、ましてや、お金持ちでもない(^^)。女性にもたぶんモテないと思う(余計な説明か?)。ただ、鬼塚さんの「この人に本を書かせたい」、「この本を世に問いたい」という情熱の強度と粘着度は凄まじい。詳細は省くが、この拗(す)ねたオッサン取材者に、「その折れない心は見習いたい」と思わせたのだから。
 今回もその情熱と粘り腰で、彼自身が強く希望した「シネスイッチ銀座」を起点とする全国100館の劇場公開と、神木隆之介君の主役起用の両方を実現している。
 その小説や映画を通して、「強く願う夢はかなう」という事実に触れてもらいたい。