男子、いざ厨房へ(3)サンマの梅干煮〜骨まで愛してほしかった

rosa412007-10-12

「骨まで〜 骨まで〜 
 骨まで愛してほしかった〜♪」
 故・城卓矢の1966年のヒット曲「骨まで愛して」って、すごいタイトルだよな。えっ、知らない?当時3歳のぼくも知らないはずなんだけど、懐メロ番組で観て、そのサビの部分だけ覚えたにちがいない。詩人の故・金子光晴が、「あなたのウンコになりたい」と書いたけれど、それに次ぐ、インパクトのある愛情表現だと思う。
 そんなわけで、サンマの梅干煮である。
「そんなわけで」って、どういうわけよという人もいるだろうが、キーワードは「骨まで」。旬の物は、安くて、美味しく、おまけに身体にもいい。そんな最高の食材を、骨まで食べられるのがサンマの梅干煮だ。30分も弱火でコトコト煮れば、骨どころか、頭も佃煮状態になって、きれいに一尾丸ごと食べられる。そう、じっくり煮込んだ韓国料理の参鶏湯(サンゲタン)のごとし。
 サンマ2尾を水洗いして、アゴ下から尻尾までのラインを包丁で切り、内臓を取り出して水で洗う。それを半分に切る。片手鍋に水180cc、しょう油大さじ3、砂糖大さじ2、そして梅干2個。さらにサンマの切り身を加えて、落し蓋と上蓋をして、弱火で30分間煮込む。見た目は多少ダシの量が少なそうでも、落し蓋をすると、熱くなったダシが魚の背びれまできちんと対流するので大丈夫。
 梅干の酸味が全体をあっさり味にまとめてくれる。できれば1日放ったらかしにしたい。しょう油とサンマの脂を吸った梅干も絶妙の味で、ご飯との相性抜群。納豆・卵・味噌汁・ご飯の基本メニューに、旬のサンマ半身とカボチャ煮、キュウリの南蛮づけ少々、という朝食の幸福感ったら!きっとサンマだって、骨まで愛してほしかったにちがいない。