ボナペティ!(3)〜ヨーロッパの国境検問所で体感する、EUの英知 

rosa412007-11-10

 レンタカーの運転手の人が、日本の紅いパスポートを示すだけで、一番最初のフランスからスイスへの国境検問所をスルーした。一時停止もなし。「日本人は観光でお金を落としてくれるから、EUに加盟していなくても、スイスではウェルカムな存在なんですよ」と日本人通訳の人がポツリ。バッグからきちんとパスポート出してたのにさ、おれなんかさ。
 
 右上の写真は、オーストリアからスイスへの国境検問所(左側の落書きされた建物)だが、ここなんか、検問所のオッサンが運転手と話していて、ぼくらに一瞥さえくれなかった。結局、フランス・ドイツ・スイス・リヒテンシュタインオーストリアと、何度も検問所を通ったけど、車を停止してパスポートを提示したのは、スイスからドイツへ入る山間部だけ。これはレンタカー移動でないと、経験できない現実だった。
 
 EU欧州連合)の議会がフランスのストラスブールに、EU本部がベルギーのブリュッセルに置かれている。(最近は本部からストラスブールへの、職員の移動コストが高いために議論の的らしいが)。これはストラスブールがフランスとドイツの国境沿いにあり、過去、何度となく戦争で両国の領土となった因縁の地であることと関係がある。ある意味、EU統合の象徴。もう血を流し合わないようにというね。そして最近のユーロ高という、EUの経済的復権がある。
 今回、こうして何カ国も移動してみると、その物理的近さと、その検問所の通りやすさに、かつて夥しい戦争を繰り広げた人たちが構築したEUの英知を体感する。どこかの島国の、アメリカ製温室育ちの、偏狭で、脆弱なナショナリズムとは違う。