探偵!ナイトスクープ(MXTV)〜「アホやなぁ、と抱きしめるテレビ」(1)

 大阪人にとって、「アホ」と「バカ」は雲泥の差がある。
「バカ」は全否定だが、「アホ」はある意味、肯定として使われる。関西圏以外の人には、少しわかりにくいかもしれない。


 大阪人は「バカ」には怒るが、「アホ」といわれると、ついニヤニヤしながら頭をかいてしまう。相手の欠点を受けとめつつ、「もうアホやなぁ」といいながら苦笑いをうかべて受けとめるニュアンスがある。「わたしにも、そんなアホな(あるいはダメな)とこがあるけどな」という想いが隠れてる。だから、ついニヤニヤしてしまう。


 去年の冬頃から、東京MXTVで放送が再び始まった「探偵!ナイトスクープ」(金曜夜11時半から0時半)。知る人ぞ知る大阪・朝日放送の長寿番組だ。去年は、大阪の友人に3本分ほどまとめて、録画テープを送ってもらっていた。「YouTube」でもいくつか検索できる。毎回、3本構成の1時間番組。一般視聴者からの疑問や質問、お願いを、探偵役のタレントたちが出かけて行って解決するスタイルだ。


 14日の放送では、「関西電気保安協会」という単語を読んでください、と探偵が街中を回った。すると大阪人のほとんどが「かんさい〜ぃでんき ほ〜あんきょ〜かい」と節をつけて読んでしまう。これも関西圏以外ではわかりにくいかもしれない。


 大阪では、関西電気保安協会のテレビCMが、昔からこの節回しで放送されてきたせいだ。そのパブロフの犬現象を観ながら笑っているのは、バカにしてるのではない。自分もそう読んでしまうと思いつつ笑う。たぶん同じように節をつけて読んでしまうだろう、アホな自分も同時に笑っている。
 その可笑(おか)しみこそが「アホやなぁ」だ。(つづく)