ある漫画家の昼飯

 
 先日、テレビで漫画家いがらしみきおの密着取材をしていた。人気漫画「ぼのぼの」の作者だ。
 

 彼の生い立ちなども紹介していたのだけれど、もっとも印象的だったのは彼の昼食のとり方。近所ではなく、わざわざ地下鉄に乗って数駅先で降りてすぐの立ち食い蕎麦(そば)屋へ向かった。その上、3分ぐらいでかき揚げうどんを平らげると、その辺りを散歩することなく、また地下鉄に乗って事務所に戻っていった。


「電車に乗るだけで、利用客の顔や雰囲気が見える。立ち食い蕎麦屋のお客さんの表情も同じ。そういう形で世間の空気を吸ってないと、漫画家という仕事はできないですから。そういう普通の人たちに向けて描くものだと、少なくとも自分はそう思ってますから」


 原稿を書くとなると、どうしても引きこもりがちになる習癖を改めたい。