NHK総合「佐野元春のソングライターズ」〜さだまさし


 ある参加者の他界した祖父の思い出から、さださんが、歌のワンフレーズを作ってみせた部分がスリリングだった。「グレープフルーツ色の雲 おじいちゃんの小さな背中」だったっけ。


 ギターの旋律の微妙な変化から生まれていく空気感、ひろがっていく情感。さださんは聴衆たちに次々に問いかける。
「どんな匂い?」
「どんな音が聴こえてきそう?」
「何が見えてくる?」


 大学生の聴衆にいちいち尋ねながら、ある参加者の思い出を、一編の歌に仕立てていく作業の一端を堪能させてもらった。この番組、NHK-BSで、米国の俳優養成学校で、その生徒たちを聴衆に、ハリウッドスターの過去からインタヴューしていく番組を踏襲している。あのソングライティング版。


 しかし、一味違うのは佐野さんの歌詞の朗読や、アーティストへの端的な質問の数々。ソングライティングの奥行を探検させてもらえる点に、とてもライブ感がある。
8日(土)のゲストは松本隆さん。さらに楽しみ!