佐藤哲郎写真展「andymori」(高田馬場シミズクリティブスタジオ・10月23日まで)
「いきいきとした」という言葉をたまに見かける。
だいたい、その後には「表情」とか「映像描写」とかいった言葉がつづく。でも、じつはこれがかなりクセモノ。感想としては使いやすい言葉だが、小説でも写真でも「いきいきとした」表現そのものを創りあげるのはかなり難しい。
「andymori」は、この夏、ロックインジャパンやサマーソニックに初登場して、がぜん注目を集め始めた新鋭ロックバンド。佐藤さんが彼らを追ったドキュメンタリー写真展「andymori」だ。
それらの写真をジロジロ見回し、何度か行きつ戻りつしながら、そのいきいきとした作品の秘密を、無い知恵しぼってあれこれ考えてみたが、・・・・・・わからん!
そんなの簡単にわかってたまるか、とも思う。
ただ、その「いきいきとした」は、撮られる側と撮る側の相互作用から生れおちるものだということは佐藤さんの写真を通して、まっ、かろうじてわかる。
写真も文章も、相手や対象物があって生まれる。
表現する側がまずは相手と共有する時間をいきいきと生きないと、何も始まらない。相手と向き合って、感じて、撮って(あるいは書いて)、それを見てまた考える。その延々たるくり返しの中で、作品と自分を変えていくこと。
でもって、先の「秘密」は引きつづき考えることにする。