写真資料集『 延辺文化大革命―10年の約束』(韓国・図書出版土香刊行)


 戸田郁子さんの、ご主人である柳銀珪(リュ・ウンギュ)さんが、中国の少数民族である朝鮮族から見た「文化革命」というテーマで、貴重な本を出版されました。戸田さんは、韓流ブームの30年近く前に韓国に留学され、自著を出され、最近は出版社を立ち上げられました。私もソウル留学時代はいろいろとお世話になった方です。


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 中国の吉林省にある延辺朝鮮族自治州は、豆満江をはさんで朝鮮と向かい合い、かつて「間島」と呼ばれた地域です。1952年、中国政府が朝鮮族自治を認め、中国55の少数民族の一つである朝鮮族が、多く暮らしています。
 図書出版土香(トヒャン)が刊行した『延辺文化大革命―10年の約束』は、今も朝鮮族社会に深い傷跡を残す、「文化大革命」の時代を記録した写真資料集です。


 韓国の写真家柳銀珪(リュ・ウンギュ)は、これまで十数年間にわたって、延辺朝鮮族自治州を中心とする中国東北の各地を回りながら、朝鮮族の暮らしや歴史を写真で記録し、また古い写真を蒐集しながら、中国朝鮮族の移住と定着の歴史を掘り起こす作業を進めてきました。
 中国全土を揺るがした「文化大革命」には、今も明らかにされていない部分が多く残っています。特に辺境の少数民族にとっては、自らの民族性を否定され弾圧された、厳しい時代でした。しかしその記録は明文化されることなく、歴史の中から消えていこうとしています。


 朝鮮族が「紅色恐怖」に震撼した時代の資料を探し求めていた柳銀珪は、あの時代を記録した一人の朝鮮族写真家と出会い、膨大な量のフィルムを入手しました。「私が死ぬまで、これを発表してはいけない」という約束と共に……。その写真家は、なぜ誰にも言わずにあの時代の記録を隠し持っていたのか。そして、中国では未だ発表することのできない事実とは、いったいなんなのか。ベールに包まれた朝鮮族文化大革命。それは江青女史の指示により、漢族と朝鮮族との葛藤が助長され、同族同士の殺し合いにまで発展した、巧妙に仕組まれた民族抹殺計画だったのです。


 恐怖の時代を記録し、守り通した写真家との十年ごしの約束を果たして、柳銀珪が整理した写真資料集『延辺文化大革命―10年の約束』は、過ぎた時代を生々しく再現する痛恨の記録として、東アジア現代史の一断面に刻印されるでしょう。

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延辺文化大革命−10年の約束 
目次
10年の約束
混乱、破壊
延辺文化大革命
1966年
1967年
1968年
1969年
1970〜76年
闘争、傷跡
延辺朝鮮族自治州文化大革命年表

日本語対訳付
定価30,000ウォン
写真123枚収録、全112ページ

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頒布価格3,000円(送料込)。郵送でお届けいたします。
図書出版土香