しまなみ海道サイクリング(1)

「にいちゃん、よう焼けとんなぁ」
 広島・尾道駅前の銭湯で、地元のおじいさんからそう声をかけられた。たしかにノースリーブのシャツ部分だけが白くて、顔、そして両腕は肩あたりから赤黒い。あとは短パンからはみだしていた両太腿の膝までが同じ。わずか3時間あまりで、よう焼けたもんや。この時点では、あまりヒリヒリしてはいなかった。


 出版パーティ翌朝は6時起床。
 そそくさと身支度をととのえ、朝食をたっぷりと食べてから、広島駅のコインロッカーに背広やバッグを預けて、9時前の尾道行き鈍行列車に乗る。尾道駅でさらにお風呂セットやバスタオルなどの入ったバッグをロッカーに入れて、いざ、レンタサイクル乗り場へ。


 広島の尾道駅から愛媛の今治市までの約70キロ、6つの島が鉄橋によってつながり、しまなみ海道とよばれている。そこにはレンタサイクル道路が整備されていることを、事前に調べていた。
 せっかく広島まで出かけるのだから、何か夏休みらしい、アホなことがやりたいと思っていたわたしにはドンピシャ!炎天下のサイクリング、ヤッホー!ヤッホー!だ。


 これ、出発の仕方がいい。
 尾道駅前から小さな船に5分ほど乗り、対岸についてから、レンタサイクルの旅が始まる。5分も走れば、瀬戸内海の透明感のある海があらわれ、それを右に見て、潮の匂いを全身にあびながらチャリンコで疾走する。