高坂勝著『減速して生きる―ダウンシフターズ』(幻冬舎)

「減速すれば、景色が鮮明に見える。発見もある」
 作家・村上龍の推薦文が腰巻におどっている。
 過剰消費の最前線でもある大手百貨店を辞めた後、一転して車で移動するキャンプ生活をはじめる。今から10年前の当時、彼はふたつの不安をかかえていた。


サラリーマン以外は何もできないんじゃないか。
お金がないと幸せになれないんじゃないか。


 最初はテントもうまく張れず、枯れ木も集められないまま日没時間になり、火も起こせないから、ご飯もたけず・・・・・・。いきなり、何もできない自分と向き合わざるをえない状況におちいる――。


 昨年、日経ビジネスアソシエのオンライン版で書かせてもらった高坂さんの話で、ぼくがもっとも好きな部分。
 そこから彼は、キャンプ場で少しずつ生きる知恵を身につけていく。オーガニック居酒屋を経営する今は、無農薬でお米や大豆をつくり、それを加工して納豆や味噌まで手作りしている。


 そんな高坂さんが出した本が、朝日新聞11月7日付けの書評欄で紹介された。本の巻頭に、ぼくのことや、先のアソシエのぼくのリード文も紹介してもらっている。アマゾンの読者レビューも好意的で、熱いものが多い。
 ぼくたちの考えたことは、伝えたかった希望のかたちは間違っていなかったんだと思うと、うれしい。


 ぼく自身、彼の誘いで無農薬の米づくりを、今年新たな仲間たちと楽しく体験した。新たな知恵と感受性を手に入れることもできた。今月17日(水)発売号の「週刊SPA!」で、高坂本の応援企画として「他人と競わない生き方」で4ページ書きました。高坂さんをはじめ、5人のダウンシフターたちの声をお届けします。

減速して生きる―ダウンシフターズ

減速して生きる―ダウンシフターズ