子どものチャンネルがほしい

 子どもはスゴイ。休むという発想をもっていない。
私たちが現場にたどりつくと、10歳の彼は、ニコニコしながら土を掘り返していた。まっ時おり横道にそれて、水が染み出てくるまで深く掘りすぎてたりすんだけどね。


 前夜寝不足だったせいか、午前中の作業後、昼食をとって横になったら、オヤジ3人とも2時間近く寝てしまった。あわてて開墾中の現場に行くと、ゲストの親子は黙々と土を掘り返していた。開墾作業3回目、作業日和の晴天。草刈した耕作放棄地は、地表近くに水道管みたいな根っこが縦横無尽に走っている。それを地道に掘り出し、引っ張り出して切断している。


 10歳の彼はこともなげに「作業」を「遊び」にすり替えてしまう。まるでテレビのチャンネルを切り換えてしまうみたいな調子で。そういえば、鬼ごっこなんかでも、子どもっていくらでも走り回ったりする。あれも「遊び」だからなんじゃないか。オジサンは、あんなふうには走れない。どうしても距離や時間で区切ってしまう。その発想そのものが「遊び」ではなくて「作業」そのもの。


 大人は何か作業したら、すぐ休むことを考えてしまう。開墾なんてそれ自体は酔狂な「遊び」なんだけど、やはり「作業」という意識が頭にしみこんでいて、なかなか引っ張り出せない。