東福寺方丈庭園の北斗七星

 10日の霊雲院につづいて、方丈庭園についても書いておきたい。霊源院が雲と川を同じ平面に共存させたとすれば、北斗七星を庭に取り込んでみせたのが方丈庭園の東庭


 しかも昔、東司(トイレ)として使われていた柱石をリユースして、その長さに長短をつけて七つの星を配する。重森三玲の発想のダイナミズムには惚れぼれしてしまう。その奥には生け垣があり、資料によるとそちらは天の川なのだという。


 ここは方丈なので、四面にそれぞれ趣の違う庭が作られている。八相の庭とも呼ばれ、古来中国の仏教的世界観をを具現化した小宇宙空間でもあるのだが、その中でもっとも小さい東庭が個人的には一番のお気に入り。ちょうど、ぼくが行ったときには、若い庭師さんが枯山水を描き直しているところだった。


 時代をこえて観るものに働きかける庭。
 止まっていて、なおかつ水も流れていない枯山水の庭が、人の心のスイッチが入った瞬間にふいに動きだす。そのダンディズムあふれる仕事に嫉妬してしまう。三玲はそれを永遠のモダンと呼んでいた。