撤退が苦手な日本人(2)ー 15日放送NHKスペシャル「終戦・なぜ早く決められなかったのか」


 従来、第二次大戦時のヤルタ会談直前まで、ソ連の連合国側への参戦を日本政府は知らなかったというのが、定説とされていた。それを覆す資料が、英国の公文書館から見つかったという事実から、番組が始まる。

 結論から書けば、前日の拙ブログとのシンクロニシティ(偶然のような必然)を感じさせる内容で、とても楽しめた。テーマはやっぱり、撤退が苦手な日本人だったからだ。
 戦争終盤での、日本政府のてめぇ勝手な、なおかつ楽観的すぎるシナリオは、「(本土決戦を踏まえながら)連合国軍側に最後の一撃を加えることで、できるかぎり有利な降伏の条件を引き出したい」だったという。

 ところが、英国の公文書館から発掘された資料では、当時、海外で情報収集に当たっていた武官らが、すでに昭和20年の春には、ソ連の連合国軍への参戦情報がもたらされていたことが明らかになる。

 当時の日本にとっては最良のシナリオを手放したくないがゆえに、陸海軍の中枢部は、海外の武官から寄せられた情報をことごとく無視し、早期降伏のタイミングを逸しつづけ、沖縄戦で18万人の死者を出し、広島長崎への原爆投下で合計22万人の死者を上乗せして、ようやく無条件降伏という最悪の結果を招いてしまった、というわけだ。

 これは原発絶対安全神話を自ら捏造し、それに関連するネガティブ情報はことごとく排除あるいは無視しつづけて、福島原発メルトダウン事故を自ら招来した原子力ムラ集団とまったく同じ構図であることが、古くて新しい日本の弱点を突いている。ドジョウかナマズか知らんけど、撤退が苦手な日本人はまだまだ懲りない。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2012/0815/index.html