本が勝手に動きだす〜憧れの晶文社と


 出かける前に書棚を探す。早川義夫『たましいの場所』、田口ランディ『根をもつこと、翼をもつこと』、古本屋で買ったスタッズ・タケール『アメリカの分裂』。どれも晶文社が発行した本で、それら以外でもたくさん読んできた良書を出す老舗出版社。本好きなら知らない人はいない。早川さんのエッセイ『たましいの場所』(ちくま文庫で読めます)なんて名著だし。


 その社長の太田泰弘さんが、アエラの拙記事を読んで下さっていて、その後、博報堂の加藤さんからのメールで僕のことが偶然伝わり、昨夜の飲み会が実現した。しかも太田さんは先月、お母様を亡くされたばかりだった。拙著『抱きしめて看取る理由』も読んでくださっていて、何本ものラインマーカーが引いてあった。「荒川さん、これが始まりですよ。まだ1回しか読んでいないので、あと2回読みます」とまで言ってくださって、仮にお世辞でもとてもうれしかった。


 加藤さん以外にも、同じ晶文社の浅間麦さんと、「東京・田園調布の小さな出版社」の吉田秀次がいらしてて、楽しい飲み会だった。神田神保町の源平酒家。太田さんの圧が強くて、なんか笑いっぱなしだった。この夜をセッティングしてくださった加藤さんにも感謝です。たとえその歩みがどうしようもなく不細工であっても、自分が20代で踏み出した一歩が間違っていなかったことを30年以上過ぎて確かめることができた。

たましいの場所 (ちくま文庫)

たましいの場所 (ちくま文庫)