えっ!ユニクロ食品販売子会社解散

rosa412004-03-22

 絶句した。昨夜も毎週の宅配分に追加して、安くなったデコポンと美味しい釜煎り緑茶をwebで注文したばかりだったから。
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20040322AT2F2201L22032004.html
 その食品販売サイト「SKIP」で、わが家が月2回の定期購入を始めたのは一昨年11月。ちょうどサービス開始直後からだ。昨年中盤からは毎週宅配してもらっていた。確かに品質は一定ではなかったけれど、寒じめホウレンソウ、キャベツや白菜などを生で食べて甘みを感じた体験は、とても新鮮だった。
 高級な砂糖菓子でも食べているようなマスクメロン、甘みと酸味がバランスが絶妙なイチゴ、芯まで食べられるパイナップル、早生ミカン好きの僕をうならせてくれた超小粒早生ミカンの濃厚さも忘れられない。
 「SKIP」の定期購入を始めたのは、ひとつの出会いがキッカケだ。当時、SKIP事業の準備中だった永田照喜治さん。水や肥料を極力与えない永田農法の創始者だ。『女性自身』の<シリーズ人間>という人物ルポの取材で、静岡県浜松市のご自宅にお邪魔したり、北海道のトマト農家訪問に同行させていただいた。
 取材冒頭、渋谷駅前のホテルで、永田さんからいただいたトマトの味で、僕は壊れた。当時一個350円から400円で、「吉兆」などの高級料亭などでしか食べられないトマトだった。
 ファーストという名前のそれは、男の握りこぶしみたいに筋骨隆々で、その実は硬く、濃厚な酸味と甘みのバランスが絶妙だった。しかも、わざと冷蔵庫にも入れず、一週間近く放置していて、その味だった。寡黙かつ謙虚で記者泣かせの永田さん自身と、そのトマトの雄弁さのコントラストが、とても強烈な印象だった。同時に、オレは今までいったい何を食べてきたんだろうかと思うと、やりきれない気持ちにさせられた。
 永田野菜のことを語りだせば、もうキリがない。僕にとってはそれほどの衝撃だった。
 永田さんが自分の畑で作る野菜の美味しさを考えれば、確かに、永田野菜の育成法を導入した全国のSKIP契約農家の味はばらつきが目立った。それでも、うちの奥さんとともに、それぞれの人生で初めての美味しさという感激を何度も経験した。その会社が解散とは、webによる生鮮品事業の難しさを改めて痛感させられる。
「残りの人生で、私は農業の構造改革をやりたいんですよ」
 永田さんのそんな言葉が、さっきから耳の奥でリフレインして仕方がない。
 デニム地のシャツとジーンズ姿がトレードマークで、上京するのも、地方の畑を回るのもそれだった。農業家としての強烈な自負とは裏腹に、腰はあくまで低く、マスメディアに持ち上げられることにはかなり慎重な人。今年76歳になられるとは思えない精悍さと、どこか土の匂いのするその温和な表情が目に浮かぶ。
 三月下旬には不似合いな冷たい雨は、開きはじめた桜の花びらを蹴散らし、天気予報どおりの雪にはならなかったけれど、夜になっても止みそうにない。
 <永田さん著書一覧>
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-url/index=books-jp&field-keywords=%E6%B0%B8%E7%94%B0%E7%85%A7%E5%96%9C%E6%B2%BB&bq=1/ref=sr_aps_all_b/249-8346619-0033165