原子力行政の正体〜『世界』11月号の大泉実成さんの記事から見えてくるもの

rosa412004-10-13

 都内での打ち合わせを終えて、自宅近くの図書館に立ち寄り。月刊誌『世界』をパラパラめくっていて、大泉さんの書いた記事が目にとまった。5年前、茨城県東海村で起きたJCOの臨界事故についてのものだ。大泉さんのお母さんが同村に住まれていて、事故発生後、体調を崩し、PTSDと診断されたということは知らなかった。

 
 PTSDとは心的外傷後ストレス障害のこと。たとえば、大阪・池田小生徒殺害事件やサリン事件など、突発的な事件のショックから本人や身近な人たちが、睡眠障害や疎外感などの心の後遺症に苦しむ症状を意味する。
 大泉さんらはJCO側らを相手取り、損害賠償の裁判を起こした。すると、JCO側はその母親を診断した医者や専門家に、執拗な嫌がらせを繰り返しているという。その顛末が息子によって書かれてある。裁判で堂々と争えばいいはずなのに。東海村自体がその原子力関連で仕事をしている背景もあり、表立ってJCOの行動を批判できない人たちの実態にも触れられている。


 事故発生当初は、ペコペコお辞儀していたJCO側の、もうひとつの顔がそこにある。しかし事故から5年も立てば、スーパーの社長は追っかけられても、JCO関係者は一台のカメラも向けられず、堂々と嫌がらせができる社会にぼくは住んでいる。
 朝日新聞のバックナンバーを検索したら、9月28日付けの茨城県版から、関連記事が4日間書かれている。関心がある方はぜひチェックしてもらいたい。企業や原子力行政の正体というのは、事故後数年たった方が、こんな風にあらわになるものだという、絶好のケーススタディになる。

●『世界』11月号:http://www.iwanami.co.jp/sekai/

PTSD心的外傷後ストレス障害):http://www.sohot.gr.jp/~ptsd/index1.htm