動く人、動かない人

 面白い世の中だなぁ〜と改めて思った。『希望のニート』の著者、二神さんと電話で話していたときだ。彼は引きこもりやニートを支援するNPO「ニュースタート事務局」の代表だけれど、最近、国土交通省の30代女性キャリアと、NHKの男性ディレクターが、それぞれの職場を辞めて、同NPOのスタッフになったという。
 へぇ〜って話だと思う。企業組織が違法行為もいとわずに暴走したり、自暴自棄な人たちが他人を巻き添えに自爆死したりと、世の中に腐臭が立ち込めているときでも、きちんとリスクを取って、自分の嗅覚を信じてアクションを起こしている人はいるんだよなぁ。
 仕事も日々の生活も、実は「こんなはずじゃなかったのになぁ〜」の連続だったりする。それを時代や世の中のせいにするのは簡単だ。だって楽だから。自分を悲劇のヒーローやヒロインに仕立て上げて、「おれってスゲェかわいそう〜」っていっとけばすむ。
 でも、「こんなはずじゃなかったのになぁ〜」という場所でこそ、どうやって自分なりのドキドキやワクワクを手作りできるのか。そこからが本当のスタート・ラインなんだろうとぼくは思う。それは転身する、しない以前の問題だろう。
 もちろん、誰だって失敗はしたくない。でも失敗さえできないまま、死んでいくのはもっとさみしい。みんな平等に、一回こっきりなんだしね。