一保堂茶舗のいり番茶の「焚き火臭さ」の妙味

rosa412006-03-29

 くせになる味というものがある。美味しいとはいえないけれど、また飲みたくなる、食べたくなる味。去年、夫婦で京都に出かけた折、知恩院裏の「よねむら」というカウンター懐石のお店で、そんな味と出会った。
 料理ではなく、食後に出された冷えた番茶の、何かが焦げたような匂いと味に惹かれた。お店で訊くと、一保堂の焦がし番茶だという。さっそく夫婦で、京都市役所近くの一保堂茶舗まで足を伸ばした。お店には小さな喫茶コーナーもあり、和菓子とお茶で、まったりとした時間が過ごせる。京都でのお気に入りの場所のひとつ。
 しかし、なかった。品切れというほどの高級品ではない。その年最初の茶摘みの後、玉露や抹茶に使う部分の残り葉が伸びたら、枝ごと切り落として蒸す。それを熱した鉄板の上で3分ほど強火で炒るから、いり番茶だ。葉だけでなく、茎や枝も含まれている。
 先日、一保堂茶舗のHPを見ていて、「いり番茶」の表記に目が留まった。値段もHPに居並ぶ商品の中では、200グラム入りなのに格段に安かった。ふた袋注文しないと送料にもならない。早速、ネットで注文。急須に並々と茶葉を入れて、熱いお湯を注いで、10分ほど置いて飲んでみた。
 これこれ!ああ、やっぱりクセになる。熱湯の方があの「焚き火臭さ」が一層匂い立つ。少し違うが、「くせ」の感じは中国茶のプアール茶っぽい。自宅でセコセコ働く身には、お茶の時間は大切な気分転換なので、素直に嬉しい。