祖父江慎の「イヤ〜ン・パワ―を楽しむ」極意〜NHK『課外授業 ようこそ先輩』

 やっぱり面白いわ、『課外授業 ようこそ先輩』は毎週きっちり観ないとな。装丁家の祖父江さんは、生徒たちが嫌いなものとしてあげたヒトデ、ナメコ、クモ、カエルなどを教室に持ちこむ。「イヤ〜ンはステキ」と唱え、生徒たちにその嫌いなものを手にとらせて、実際によく観察させる。自分が嫌だと思うものに潜んでいる魅力(パワー)を発見させるためで、それこそが「イヤ〜ン・パワー」。
 すると小学生たちはいきなり感受性の扉を全開にする。ワイワイ、キャーキャーいいながら、さっきまで嫌いだったはずの生き物たちに触れながらジロジロ、ニタニタしはじめる。もちろん、授業はここで終わらない。最後は生徒たちに、自分にとってそれぞれの生き物の最大の特徴を表現することを求める。作品化というアウトプットまでいかないと、本当にわかったことにはならないから。
 小麦粉やノリ、カラーマジック、発泡スチロールなどを材料に、生徒たちはいきいきした表情で、ベタベタな質感や壊れそうな繊細さ、意外とソフトな手触りなんかを、作品に仕上げていく。子どもの感性の柔らかさや瞬発力がブラウン管からあふれ出てきて、それを目の当たりにしながら、おれもスゲェスゲェとワクワクしてる。
 嫌いなはずのものに潜んでいる「好き」をするっと引っぱりだし、物事の奥行きと自分の「好き嫌い」のいい加減さをも体感させる。単純にして深い、最高のパフォーマンス。
 だれかぁ〜、おれに「北朝鮮」か「ブッシュ」「安倍晋ちゃん」「不二家」への「イヤ〜ン・パワー」を楽しませてくれない?