決断できない「いい子」たちが招いた結末(2)〜冨山和彦氏談 

 冨山氏が、再生機構解散後に企業再生会社を立ち上げるというニュースが流れた。おお、このブログもタイムリーだなぁ。ボストンコンサルティング、そして同僚たちで新たに経営コンサルティング会社を立ち上げ、自ら会社の諸制度を作った冨山氏には、財務と事業の両面から経営を見る視点がつちかわれた。
 アメリカのスタンフォード大学留学時代には、バブル崩壊を迎えて会社の業績が悪化。経営者として約80人の社員を半分にするというリストラの決断も下した。単なる経営コンサルタントとしてだけでなく、修羅場をくぐった経営当事者の経験と視点を併せもつ。だから冨山氏の話はリアルで面白い。
 イージーゴーイングのプロパー社員では、なかなかそういう複眼思考はもちにくい。情と理の両方が欠かせない企業経営の本質は、理論だけでは身につかない。
「留学してMBAを取得したスタンフォード大でも、半分の学生が起業して失敗する。シリコンバレーも同様。同じ大学に留学してMBAを取った日本企業の社員たちは、帰国後、経営企画や管理部に回され、幹部候補生としてイージーゴーイングな道を歩んでしまう。5年後、10年後に日米の同窓生が集まると、アメリカ人の方が圧倒的に大人になっているんですよ。それは日本企業の独特な仕組みの問題ですね
 と語る冨山氏によれば、経営者はハイブリッド型で、種々雑多な経験をした人間の方が適性があることになる。話はさらに彼が再生を担ったカネボウに及んだ。(つづく)