今、倒錯ブーム

rosa412007-05-29

 昔、折り紙で「だまし舟」というのがあった。逆T字型の小舟の帆先を持っているはずなのに、少し折り方を変えられると、舟の先か後ろを持っている状態にさせられてしまう。倒錯とはまさにあれで、さかさまになること。あるいは混乱すること。
 政治家は、地元に公共事業を引っ張ってこれるぐらいの力を持とうと、選挙を勝ち抜き、その実績で献金を集める。金を集められることが、彼らの発言力の源泉。そして違法な集金が明るみに出そうになると、言い知れない恐怖感に襲われて、念願の大臣の地位だけでなく命さえあっけなく失う。偉くなることは死に近づくことだったりする。
 他人事じゃない。
 近頃は携帯電話も、在庫品を処理するために新製品を発売するという。新製品が出ると、既存製品が安くなって売れ、在庫が減らせるからだ。在庫を減らすための新製品開発に、残業を重ね、家族との時間もないがしろにして働く人たちは、どこに仕事のモチベ―ションを見つけているんだろうか。
 その携帯電話でモノが買えたり、電車の改札口を自由に行き来できたり、無料でゲームが楽しめることが、どういう理由で、ぼくらをどれくらい幸福にしてくれているんだろうか。元サラリーマンの友人にそう尋ねると、「いったん、そういう状況になってしまうと、誰もそこから降りられないんですよ」と言った。
 けっして、ぼくも他人事じゃない。 
 ワイドショーの女性レポーターはなぜ、「今、倒錯がブームです」と言いふらさないんだろうか。