生き物としての元気(4)いのちを主体的に握り返す

「仕事も、家事も、育児も、気がついたら全部『〜〜しなければいけない』ことばかりで、それがとても息苦しくなって、何か、自分がしたいと思うことを始めてみたくなったんです」
 ひさしぶりに再会した彼女は、そう話した。東京マラソンの約1ヶ月前だ。
 

 それが、テレビ関係者の彼女が昨年から走り始めた動機。当時引っ越したマンションに、子育て中の主婦らが早朝5時に集まって走っているクラブがあり、マンションの会合で誘われたのが直接のきっかけだった。それまで運動は苦手で、走ろうなんて考えたこともなかったのに、だ。

 
 ランチをともにしながら、ぼくは自律的に生きることのヒントが、彼女の発想転換にあるように思った。5時間を切る記録で、初マラソン完走を果たした彼女は、今週の『アエラ』に、東京マラソン体験記を書いている。